

やる気のない社員やローパフォーマーへの対応では、本人の意欲だけを問題視するのではなく、まず「期待される役割・成果」と「現状の行動・成果」のギャップを事実ベースで整理することが重要です。
そのうえで、本人との面談を通じて原因を確認し、目標の再設定、必要な支援、定期的な振り返りを行います。改善が見られない場合は、上司任せにせず、人事が評価制度・配置・育成施策・管理職支援の観点から対応方針を検討する必要があります。
本記事では、やる気のない社員・ローパフォーマーの特徴や原因を整理したうえで、上司・人事が取るべき指導の手順と注意点を解説します。
やる気のない社員やローパフォーマーに対応する際は、感情的に注意したり、「もっと頑張ってほしい」と曖昧に伝えたりするだけでは改善につながりにくいものです。上司・人事は、事実確認から目標設定、支援、振り返りまでを一連のプロセスとして設計することが重要です。
まず、本人に求めている役割や成果が明確になっているかを確認します。評価基準や業務目標が曖昧なままでは、本人も何を改善すべきか理解できません。
「やる気がない」「態度が悪い」といった印象ではなく、期限遅れ、品質不備、目標未達、周囲への影響など、具体的な事実を整理します。
成果が出ていない背景には、スキル不足、配置ミスマッチ、目標への納得感不足、上司とのコミュニケーション不全、私生活上の事情などがある場合もあります。本人の認識を確認しながら、原因を切り分けます。
次に、いつまでに何をどの水準まで改善するのかを明確にします。あわせて、上司や人事が提供する支援、面談頻度、振り返り方法も決めておくことが大切です。
改善状況は一度の面談で判断せず、一定期間を設けて確認します。面談内容や合意事項を記録し、本人・上司・人事が同じ認識を持てるようにしましょう。
指導や面談の場面では、本人の人格ではなく、業務上の期待や具体的な行動に焦点を当てて伝えることが重要です。管理職が部下に対して適切にフィードバックする方法を詳しく知りたい方は、資料「ネガティブフィードバック研修のご案内」もあわせてご覧ください。
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まずは、やる気のない社員(モチベーションの低い社員)について、特徴を3つの行動パターンで紹介します。
やる気のない社員の特徴として、「できるだけ労力を使わず、最低限の仕事しかやりたがらない」というものがあります。例えば、「割り振られた以外の仕事はしない」「あえて時間をかけてゆっくり作業する」「新しい仕事を頼まれると、『それは自分の仕事ではありません』と断る」といった行動をするケースが多いです。
仕事への集中力が欠けており、ミスや問題行動を頻繁に起こしてしまうのも、やる気のない社員の特徴です。例えば、「仕事を依頼されても、締め切りに間に合わないことが多い」「仕事のやり方が雑で、完成物に抜け漏れや欠陥があることが多い」「毎回何かしらの言い訳をして、遅刻や欠席を繰り返す」などの行動が挙げられます。
仕事に対する責任感が薄く、周囲にその責任を転嫁してしまいがちなのも、やる気のない社員の特徴といえます。具体的な行動でいうと、「失敗を指摘されると、『それは自分のせいじゃありません』と言い張る」「すぐに同僚・上司・部下のせいにする」「何かにつけて会社の社風・体制について愚痴をいう」というものです。
ローパフォーマーとは、「Low(低い)」「Performer(成果・業績を挙げる人)」という語源どおり、期待されている成果を出せない従業員のことです。ここでは、そんなローパフォーマーの特徴について、4つの点から紹介します。
成果が著しく低く、会社が求める目標に到達していないのがローパフォーマーの特徴です。具体的には、「現状維持を目標にしてしまっている」「目標達成に必要なスキル・知識を身につけようとしない」といった志向性が挙げられます。なかには、本人としては十分努力しているつもりでも、成果が挙がらないケースもあります。
ローパフォーマーによっては、仕事の生産性が低く、成果につながっていない場合もあります。具体的には、「指示された業務をこなすのに、必要以上の時間がかかる」「計画を立てずに作業を進めてしまう」という特徴です。
仕事に対する積極性が欠けていることも、ローパフォーマーの特徴です。特に今はリモートワークが普及し、ローパフォーマーが上司の目の行き届かないところで働くケースも増えました。その場合、ローパフォーマーは仕事を自分から取りに行こうとせず、最低限の作業で済ませようとすることがあります。
必ずしも全員がそうとは限りませんが、なかには勤務態度が悪いローパフォーマーもいます。特徴としては、「人が見ていないところでサボろうとする」「遅刻や欠勤を繰り返す」「周囲に仕事を押しつける」というものです。成果の低さがモチベーションの低下を引き起こし、負のスパイラルになっているケースも考えられます。
やる気のない社員・ローパフォーマーへの対応を整理したい方へ
タイプ別の原因と対応策をまとめた実践リストをご用意しています。
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| 比較項目 | やる気のない社員 | ローパフォーマー |
|---|---|---|
| 主な問題 | 意欲・姿勢の低下 | 期待成果とのギャップ |
| 見え方 | 最低限の仕事しかしない、受け身な姿勢が目立つ | 成果が出ない、品質・生産性が低い状態が続く |
| 主な原因 | 役割不明確、承認不足、職場環境への不満など | スキル不足、配置ミスマッチ、目標・期待値が不明確など |
| 初期対応 | 面談で意欲低下の背景(環境・関係性)を確認する | 期待値と現状の差分を数値・事実で確認し共有する |
| 人事・上司 の関与 |
上司支援、キャリア面談、配置・役割の見直し確認 | 評価基準の明確化、育成計画・改善プログラム(PIP※)の設計 |
※PIPとは、Performance Improvement Planの略で、業績改善に向けた目標・支援内容・確認期間を明確にする改善計画を指します。
ローパフォーマー対応の全体像をより詳しく知りたい方は、「ローパフォーマー対応3つのポイント」もあわせてご覧ください。
では、こうしたやる気のない社員・ローパフォーマーがなぜ生まれてしまうのでしょうか。じつは本人だけに原因があるとは限らず、会社・上司に問題があることもあります。ここでは、従業員がやる気のない社員・ローパフォーマーになってしまう原因について「会社・上司・本人」という三者の立場から解説します。
本人の適性に合わない職種・部署に配置してしまうと、従業員の意欲や成果を低下させてしまうことが多いです。入社選考のときに採用担当が人材の適性を見誤ったケースや、事業再編に伴う部署異動で従業員を慣れない職種へ就かせてしまった場合が考えられます。本人の持つ適性を正しく見極め、適材適所に配置する必要があるでしょう。
従業員のモチベーションが上がらない原因として、「仕事の意義を理解していないこと」が挙げられます。「自分の仕事は誰の役に立っているのだろう」「自分の仕事には意味がない」と考えると、仕事も手につかなくなってしまうものです。事業や仕事の社会的な意義を、日頃から会社が従業員に伝える必要があります。
評価基準に不公平さがあると、一部の従業員は仕事へのやる気を損なってしまいます。従業員が「何をやっても評価されない」「頑張っても意味がないから現状維持でいい」と思い込み、成果が伸び悩んでしまうケースも少なくありません。「何をしたら評価されるのか」を明確に提示し、公正な評価を行うのも会社の役割といえます。
十分に育成の手が行き届いていないと、部下のやる気を失わせかねません。従業員が「自分はあまり上司に目をかけてもらえない」「ずっと放置されている」と思い込むと、会社への反感につながる恐れもあります。上司が部下に対して積極的にコミュニケーションをとり、真摯にマネジメントを行う姿勢が大切だといえるでしょう。
仕事において「承認欲求」は、とても大切な要素です。多くの人は他人から褒められなかったり、認められなかったりすると、モチベーションが下がってしまいます。やる気や成果が伸びない従業員は、承認欲求を満たせていないケースが多いです。部下が頑張っているときは、上司が積極的に褒め、評価する努力が必要でしょう。
部下が上司との人間関係に悩み、ストレスが原因でやる気のない社員・ローパフォーマーになってしまうケースもあります。上司は「自分の存在が部下を萎縮させていないか」「部下の尊厳を傷つけるようなコミュニケーションをとっていないか」を普段から意識し、部下とのやり取りを改善することが大切です。
そもそも本人が仕事に対する目標意識が薄く、現状維持で満足してしまっているケースもあります。また、長く会社に在籍するなかで「仕事を続けること」だけが目的になってしまい、目標を見失っている可能性も考えられます。その際は上司が相談に乗って、達成が可能な目標をあらためて設定する必要があるでしょう。
どんな業界・職種であれ、時代の変遷に合わせて求められるスキル・知識は変わってきます。持っているスキル・知識が陳腐化し、仕事で通用しなくなった結果、成果が挙げられていないケースもあるでしょう。そのため、周囲が協力しながら本人の自己変革を促し、スキル・知識をアップデートさせていく必要があります。
仕事とは関係がなく、プライベートの事情で本人のモチベーションが下がっていることも考えられます。本人からは言い出しづらいケースもあるので、上司や同僚が積極的に相談に乗ってあげる姿勢が大切です。
やる気のない社員・ローパフォーマーは、本人だけの問題にとどまらず、組織全体にも影響を及ぼすことがあります。ここでは、やる気のない社員・ローパフォーマーが組織にどのような悪影響を与えるのか、解説します。
やる気のない社員・ローパフォーマーがやり残した仕事は、当然他の従業員が肩代わりすることになります。その場合、代わりに業務を行う従業員の負担が大きくなり、組織全体の生産性が低くなってしまうでしょう。
やる気のない社員・ローパフォーマーを見て、他の従業員が「なぜ自分だけ頑張らないといけないのか」と不満に思ってしまうこともあります。そうなると、組織全体のモチベーションが低下してしまう恐れもあるでしょう。
やる気のない社員・ローパフォーマーに対して不満を感じている優秀な従業員が、退職してしまう可能性もあります。組織に必要な従業員が予期せず退職してしまうと、企業にとっては大きな痛手になってしまうかもしれません。
前章では、やる気のない社員・ローパフォーマーに対応する際の基本的な進め方を紹介しました。ここでは、原因や状況に応じて検討したい具体的な支援策を紹介します。本人への指導だけでなく、能力開発、上司の関わり方、評価制度の見直しなど、組織として取り組むべき観点も含めて整理します。
周囲から「やる気のない社員・ローパフォーマー」として見られているという現状に、本人が気づいていない場合もあります。そのため、まずは上司や人事が本人と面談を行い、勤務態度や成果について一度正しく伝えることが大切です。そして、本人に現状を理解してもらったうえで、新しく目標を設定しましょう。この際、いきなりハイレベルな目標を課すのではなく、高すぎず低すぎない、実現が可能な目標を設定するとよいです。そして、本人がその目標を達成できるよう、周囲が一定期間かけて親身にサポートしていきます。
本人のスキル・知識の不足から、パフォーマンスが落ちている可能性もあります。その際は、上司によるOJTや外部のプロフェッショナルによる研修など、学習の機会を設けることが効果的です。特に研修サービスの専門企業が提供する研修のなかには、やる気のない社員・ローパフォーマー向けに特化したものもあります。こうした研修サービスを本人に中長期的に受けてもらい、スキルアップを図らせることもひとつの解決策でしょう。
ローパフォーマーへの指導や支援を管理職任せにせず、組織的に進めたい場合は、「ローパフォーマー対応研修」の活用も選択肢の一つです。
部下のやる気や成果が出ない原因として、上司のコミュニケーションに問題があることが挙げられます。具体的には、部下を放置したり、必要以上に厳しく接したりというパターンです。上司がこうしたアプローチ方法を変えることで、部下の勤務態度が改善されることもあります。まずは上司自身が自己変革し、部下に対して真摯に向き合うことが大切です。部下が多すぎて上司が対応できない場合は、新しくメンター制度(歳の近い先輩が相談に乗る制度)を導入し、先輩が親身に相談に乗るようにするのも有効です。
また、上司が部下と会話する際は、本人の人格ではなく、業務上の期待や具体的な行動に焦点を当てることが大切です。例えば、「あなたの行動で私が迷惑を受けている」と伝えるのではなく、「期待されている役割に近づくために、改善してほしい点を一緒に確認したい」と伝えるなど、本人の成長や業務上の期待に結びつけて話すとよいでしょう。ちなみに上司がマネジメント能力に自信を持っていない場合は、「ローパフォーマーを部下に持つ上司向け」の研修サービスを受講すると、改善が期待できる場合もあります。
上司の関わり方を見直す際は、関連記事「マネジメント能力を伸ばす方法・思考法」も参考になります。
本人の努力や変化を具体的に認めることも、モチベーションの回復につながります。意欲の低い従業員には、結果だけでなく、行動の変化や改善に向けた取り組みにも目を向けることが大切です。例えば、「前回より報告のタイミングが早くなった」「期限に向けて自分から相談できた」など、具体的な行動を言葉にして伝えるとよいでしょう。小さな変化を見逃さず、承認とフィードバックの機会を増やすことで、前向きに仕事に取り組みやすい職場環境をつくることができます。
「この仕事は誰の役に立っているのだろう?」と疑問に感じてしまうと、仕事へのモチベーションは上がりません。やる気のない社員・ローパフォーマーのなかには、仕事を単なる「作業」と捉え、苦痛に感じている人もいます。そのため、会社が従業員に対して、事業・仕事の社会的な意義を伝えることが大切です。「この仕事は確かに誰かのためになっている」という実感を本人が得られれば、前向きに仕事に向き合えるようになるでしょう。
評価の基準が曖昧だったり、公平さに欠いていたりすると、従業員のモチベーションを損ねる可能性もあります。そこで、「具体的に何をすれば報酬がもらえるのか・昇格できるのか」が明確に分かるような評価制度に変えることも有効でしょう。また、なかには上司へのアピールが苦手で、評価されていない従業員もいます。そうした従業員ともコミュニケーションをとり、ポテンシャルや意欲を評価できるような仕組みになると、なお良いです。
人事評価制度を見直すポイントについて詳しくは「人事評価への不満にどう対処すべき?評価制度の見直し方法・ポイントを解説!」をご一読ください。
やる気のない社員やローパフォーマーへの対応では、本人の意欲だけを問題視するのではなく、期待役割と現状のギャップを事実で整理し、面談・目標設定・支援・振り返りを継続することが重要です。
また、成果が出ない背景には、スキル不足や配置ミスマッチ、評価基準の曖昧さ、上司とのコミュニケーション不全など、組織側の要因が関係していることもあります。人事と上司が連携し、本人への指導だけでなく、能力開発や評価制度、管理職支援の観点から改善策を検討しましょう。
自社だけで対応が難しい場合は、外部の専門家に相談し、ローパフォーマー対応や管理職のフィードバック力強化に取り組むことも有効です。
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期待役割と成果のミスマッチによるローパフォーマーが従来以上に発生し易くなっています。対象社員に対する目標設定・注意指導・業績改善に向けたプログラムの流れ・改善が見られない場合のコミュニケーション手法をご提案します。