世代ごとに委託先が異なり、一貫した育成方針が伝わらなかった

お客様インタビュー:株式会社サトー様

市場環境が目まぐるしく変化する昨今では、キャリア開発研修などを通して企業が従業員の自律的なキャリア開発を支援する重要性はますます高まっています。社内で将来像を描けない従業員が増えるとエンゲージメントの低下を招くだけでなく、イノベーション停滞を引き起こすリスクが発生するためです。
本記事では、当社が提供する年代別キャリア研修と上司向けキャリア開発支援研修を導入してエンゲージメントを向上させた株式会社サトー様の事例をご紹介。グループ全体の人財育成を担うサトーキャンパス推進グループ長の小林様と、研修運営を担当する同グループの楠様に、研修の導入経緯とその効果、今後の人財育成の展望などを伺いました。
――以前は世代ごとに異なる研修会社にキャリアデザイン研修を委託していたと伺いました。当時の研修について、どのような課題を感じていたのでしょうか。
楠様:一つは、キャリアデザイン研修を通して会社として一貫した育成メッセージを伝えきれないことです。複数の研修会社に委託していると、どうしても世代によって育成メッセージのニュアンスや温度感に差が生じやすい問題がありました。
もう一つは、 ワークキャリアよりライフキャリアの要素を強めに打ち出したプログラム構成になっていて、スキルの棚卸しや人事制度の理解に費やす時間があまり設けられていなかったことです。当時の研修は業務で求められるスキルや役割との接続が弱い内容だったので、職場における意識・行動変容につなげるのが難しいと頭を悩ませていました。
――複数世代のキャリアデザイン研修を刷新するには、膨大な労力がかかるはずです。それでも刷新しようと決めた理由を教えてください。
小林様: 毎年実施しているエンゲージメントサーベイで「キャリアが描けない」と答えた従業員の割合が高く、何らかの打ち手を講じる必要性を強く感じていました。キャリアデザイン研修の刷新によって、従業員一人ひとりが現在の仕事やスキルに基づいて主体的にキャリアを検討できるよう促し、この課題の改善・解決を目指そうと考えた側面はあります。
また、私どもが所属するサトーキャンパス推進グループのミッション「従業員一人ひとりが自ら考え行動し、変化を起こせる人財(ジリツ人財)」の育成を強化するという側面でも、キャリアデザイン研修の刷新は必要でした。
世代ごとに委託先が異なり、一貫した育成方針が伝わらなかった
ライフキャリア寄りの内容で、職場での行動変容につながりにくかった
エンゲージメントサーベイで毎年課題として浮き彫りになっていた
――検討の末、当社に全世代一貫型のキャリアデザイン研修体系構築をお任せいただいた決め手をお聞かせください。
小林様:ここまでお話した課題やニーズを最も適切に汲み取ってご提案いただいたのがマンパワーグループでした。従来のキャリアデザイン研修に比べて、ワークキャリア形成を考える講義と演習の比重が高いプログラムを通して、「これまでの人生や仕事経験を振り返って整理し、今後の目標と達成のためのアクションプランを考える」という一連の流れができることを評価して導入を決めました。
――導入したキャリアデザイン研修体系の概要をお聞かせください。
楠様:年代別キャリアデザイン研修と上司向けキャリア開発支援研修の二軸で構成されています。研修当日のみならず、研修前後にもワークや面談を盛り込み、キャリアを深く考えて行動に落とし込めるように体系立てた構成です。
年代別キャリアデザイン研修の中に、10年目研修・20年目研修・30年目研修の3種類が含まれています。 全世代共通のカリキュラムもあれば、各年代の傾向や役割期待を踏まえて組み込まれた年次特有のカリキュラムもあります。
――年代別キャリアデザイン研修の中で、特に印象に残っているカリキュラムを教えてください。
小林様:全世代のキャリアデザイン研修で実施した「能力図表」の作成です。過去の成功体験の中で活かしたビジネス能力と現在の自分の興味傾向を掛け合わせて、自身の強みと課題、今後活かせる方向性を可視化させるワークになっています。
個人的には、特に20年目研修で実施する意義が大きいと感じました。20年目は、ジェネラリストとスペシャリストのどちらの方向に舵を切るかを慎重に見極めるべき時期であると同時に、セカンドキャリアの前段階にも差し掛かっています。自分らしく能力を発揮できる強みを見つけることで、今後自分が目指すキャリアが具体的に見えてくる点が良いと思いました。
――講師のパフォーマンスはいかがでしたか。
小林様:キャリアデザイン系の研修では特に、講師のご経歴が研修の品質に大きく影響すると思っているのですが、講師の皆様が素晴らしい経歴をお持ちで安心しました。それでいてご自身の苦労話も開示してカリキュラムに説得力を持たせていて、受講者のより深い共感や納得に繋がっていると感じました。
働く意味を考えてもらうための問いかけが受講者の琴線に触れている様子が見えたのも良かったです。ここを真剣に考えてもらうことは年代別キャリアデザインの効果に大きく関わることを講師の皆さんも理解してくださっていました。受講者の深い考えを引き出す表現で問いを投げかけるといった工夫も見られてありがたかったです。
複数世代にまたがる課題を整理し、全世代一貫の研修体系として提案
仕事経験の整理・目標設定・アクション設計まで、一連の流れでつながる内容
――年代別キャリアデザイン研修の受講者から、どのような反響がありましたか。
小林様:当社には、従業員が毎日欠かさず経営トップ宛に会社を良くする創意・くふう・気付いたことの提案や考えとその対策を報告する「三行提報」という制度があります。この三行提報に、受講者から 「これまでキャリアを考える機会がなかったが、研修で深く考え今後のキャリアの参考になった」などの声が複数あがっていました。各年代の研修が、受講者自身のキャリア観を整理する良い機会になったのではないでしょうか。
楠様:人財育成に携わる私たちは当たり前に知っているようなキャリアマネジメントの理論や手法を知ることが、受講者にとっては仕事への向き合い方を良い方向に変えていく第一歩になっていると感じました。特に10年目研修の受講者は、これまで自身のキャリアをじっくり考える機会が少ない分、その傾向がより強く出たように思います。
小林様: 受講者が 研修の充実ぶりを従業員同士で共有してくれていて、こちらとしては非常にありがたい限りです。事前にこの研修の良い評判を聞いているおかげで前向きな気持ちで参加してくれる受講者が多く、良い雰囲気で研修を進められています。
――受講者の意識や行動の変化を感じるエピソードもお聞かせください。
小林様:私の部下が研修で作成したアクションプランシートの記入内容を見て、彼の目標や目指す将来像が明確になっていると感じました。私自身、彼の価値観や今後の行動計画を深く理解することができて、率直に彼の強みを活かせる業務を任せたいという気持ちが湧きましたね。受講者自身はもちろん、受講者の上司にとっても部下と良好な関係で仕事を進めていくうえで有意義な研修となりました。
―― 上司向けキャリア開発支援研修の反響はいかがでしたか。
楠様:研修でロールプレイをしながら学んだキャリア面談の手法は、会社に対して現在の業務や今後のキャリアの方向性などを申告する「自己申告制度」で部下と面談をするときに役立っているようです。
他に、10年目研修の受講者宛てに強みや課題・今後の期待を記入する「上司からの手紙」の記入内容が具体的になったことも挙げられますね。根拠となる場面も提示したうえで評価したり、部下に遠慮しすぎて伝えられなかった課題に言及するようになったりして、着実に変化していると感じます。
――当社の研修を継続してくださっている理由を教えていただけますか。
小林様:研修は継続して取り組んでこそ効果が出てくるというのが、私の持論です。それは実際に、貴社の研修導入から約3年後に実施したエンゲージメントサーベイで、キャリア形成に関する数値が前年より大幅に改善されるという結果にも現れています。
ジリツ人財育成の機会という意味でも、貴社が提供する一連の研修は重要です。自律的にキャリアを描ける人は仕事の品質や生産性が高い傾向がありますから、研修を通じて今後目指すキャリアを整理し、それに向けて行動することの延長線上で、当社の経営戦略の遂行にも紐づいてくるでしょう。
――貴社の人財戦略について、今後の展望をお聞かせください。
小林様:従業員が持つキャリア志向を満たすための支援を強化していきたいです。そのために今進めている施策の一つが、キャリア開発支援システムの改定です。実現できたら従業員のキャリア志向に合わせたラーニングパスの提示や、目指すポジションに必要な経験・知識・スキルの可視化、自己申告制度や上司とのキャリア面談履歴の蓄積など、キャリア形成支援に関する仕組みが一気にアップデートするでしょう。エンゲージメントのさらなる向上にも繋がるはずです。
また、システム改定によって、各部署が必要とする人財のマッチングが促進されることにも期待しています。対象業務で必要とするスキルや知識・経験を持つ従業員をスムーズに探せるようになり、組織と個人の両方にとって相乗効果を発揮するだろうと思います。当社の中期経営計画で掲げる事業ポートフォリオ実現に向けて人財ポートフォリオの基盤構築を進めるためにも必要な施策です。
―― 本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。最後に、今後当社に期待することをお聞かせください。
楠様:受講者からの評判が良いので、今後もぜひお力添えいただきたいです。同じカリキュラムを続けるのではなく、社内動向や外部環境の変化を考慮したうえでさらに充実した研修にアップデートしていくためのアイデアやご意見もいただけると嬉しいです。
小林様:私どもが把握している課題の他にも、客観的な立場だからこそ見えてくる病巣もあるかもしれません。豊富なご経験に基づいて多角的に問いかけていただくことで新たな気付きや発見が出てくる場合もあると思いますので、引き続きかかりつけ医のように寄り添ってくださるとありがたいです。
企業名:株式会社サトー
本社所在地: 〒108-0023 東京都港区芝浦3丁目1番1号 msb Tamachi 田町ステーションタワーN
ホームページ:https://www.sato-global.com/ja/
※本記事の内容は取材時点(2026年3月)のものです。
