新型コロナウィルスの感染拡大防止に向け、各社連日様々な対応を決定されていることと思います。各社の取り組みを伺うと、厚生労働省のガイドライン遵守に加えて、下記のような対応例を見受けます。
■集合型会議の自粛、それに伴う事業所間移動の禁止
可能な限りデジタルツールを活用し遠隔で行う
■フレックス勤務(時差出勤)の推奨
可能な限り満員電車を避ける(オフピーク通勤)
■テレワーク勤務(在宅勤務)、有給休暇取得の推奨
可能な限り集団での対人接触を避ける
■ マスク常用の推奨
不特定多数の人物との接触が考えられる場合は、マスク着用を徹底
■うがい・手洗い・消毒の励行
外出先からの帰社時および帰宅時等、うがい・手洗いの励行
■不特定多数が集まるイベントの自粛
ビジネス上、参加や開催が必要な場合は部門長承認、感染予防対策を徹底
手指消毒、手洗い、うがい、マスク着用、セミナー会場に消毒用液を設置
■営業活動の判断
担当顧客への訪問に関して、顧客の指示に従う。必要性を上長と相談
■感染者の発生が確認されているエリアの対応判断
担当社員は、監督機関・自治体や現場の状況を踏まえて上司の判断に従う
■医療施設や感染リスクが指摘される施設等への訪問判断
不要不急の訪問や、長時間滞在を自粛
施設側の指示に従う。施設側の指示が無い場合、上司が判断
こうした状況に対して、難易度が高いのは下記の組み合わせ等です。
「顧客」×「自粛」×「上司が判断する」
判断を誤ると、感染拡大を助長してしまうだけではなく、自社のブランド毀損に繋がる危険性もあります。
刻々と状況が変化する中で、冷静に判断基準を揃えていく為のヒントを以下で紹介します。
今回のような「未知の状況での判断」では、優先順位や判断基準がそろっているかが重要になります。
感染防止、健康、顧客、サービス、雇用、売上、利益、信用。ブランドなど、判断をする際には様々な要因が複雑に絡み合い、「こちらを立てればあちらが立たず」というトレードオフになる状況も起こり得ます。
「何を死守し、何を捨てる(諦める)か」「状況が変わった場合、変えることと変えないことは何か」「二番目以降の優先順位」等を、各現場が柔軟かつ適切に判断する必要があります。
新型コロナウィルスに限らず、今後も世界は複雑さや変化や情報量が増大し続けます。本部の指示だけでは網羅しきれないケースも増加してくるでしょう。その際のプライオリティ・マネジメント能力を高めるには、何をすればよいのでしょうか。
優先順位とは、デジタルに計算できるケースだけではありませんし、かといって感情だけで判断するのも危険です。矛盾やトレードオフの複雑な関係性の中で判断するには「論語(価値観)と算盤(論理)」両軸での判断が必要となります。
特に価値観やビジョンは付け焼刃では共有できないので、日頃から組織内や上司部下で話し合い、目線を合わせておくことが重要です。
緊急時に社内通達する際も、いきなり通達するより、上司・部下で「この場合どう判断する?」「こういう指示をどう理解する?」というシミレーションを行い、少しでも話し合い、考える習慣付けをすることも必要です。
価値観や判断基準の違いや癖を理解して軌道修正しておくと、通達後のブレやロスが少なくなります(通達後に揃えるのは難易度が上がります)
株式会社PHP研究所、株式会社太陽企画を経て、2007年に株式会社ライトマネジメントジャパン(現マンパワーグループ)入社。営業、研修講師、人事コンサルタントとして、日系・外資系企業を問わず2,000名以上のキャリア開発施策、人員施策プロジェクト、官公庁プロジェクトにおけるコンサルティング・管理者トレーニング・キャリア研修講師・プロジェクトマネージャー等を100社以上担当。
プロティアン・キャリア協会認定アンバサダー
人事実践科学会議 事務局長
立命館大学経営学部大学院 授業担当講師
日本心理的資本協会 理事
<著書・講演>
ネガティブフィードバック「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術|アスコム出版
キャリア自律を実現させる最先端アプローチ~「本人・上司・人事」三つの視点から考える組織改革の進め方|HRカンファレンス2023秋基調講演
「働かないおじさん問題」のトリセツ|アスコム出版
ロンドンブーツ1号2号田村淳のNewsCLUB|文化放送
ほか