昨今、先行き不透明な経済情勢から企業の人員削減が増えており、退職者の再就職をサポートする「再就職支援」が注目を集めています。ただ、どんな会社が「再就職支援サービス」を手がけているのか、よく知らない方も少なくないでしょう。そこで今回は「再就職支援会社とはどんな会社なのか?」「民間と自治体の再就職支援は、サービスに違いがあるのか?」「再就職支援会社選びのポイントは?」など、今知りたい情報を紹介します。
まずは再就職支援の全体像を知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
"今知っておくべき「再就職支援」。メリットや正しい活用方法とは?"
「再就職支援会社」とは、経営不振・将来のリスク回避などを理由に「人員削減」する企業から依頼を受け、退職者に対して再就職をサポートする企業です。具体的には、各社とも以下のようなサービスを行っています。
◆「退職者」に対する再就職のサポート・求人開拓
早期退職を余儀なくされた退職者に対して、早く次の職場へ就職できるようサポートします。具体的には、退職者へのカウンセリング、自己分析・適性診断、面接対策、履歴書の添削、求人の紹介・開拓、入社前の準備などの支援を手がけています。再就職支援会社によっては、資格やPCスキル獲得に向けたセミナーを提供している場合もあります。
◆「従業員」へのキャリア支援
企業からの依頼で、従業員へのキャリアカウンセリングやキャリアデザイン研修等、コンサルティングやアドバイスも行います。例えば、「自分自身の強みや価値観の整理」「今後のキャリアプラン検討」などを助言することが多いです。人材のプロが相談に乗るので、退職者だけでなく従業員へのスムーズなケアを提供できるでしょう。
こうした再就職支援会社は、「人材紹介・人材派遣・転職サイトの運営」といった人材サービスを別の事業部、またはグループ会社が手がけていることが一般的です。転職市場に関する豊富なノウハウ、多彩な求人を開拓できる盤石な顧客ネットワークを強みに、サービスを手がけている企業も数多くあります。
資料ダウンロード 「再就職支援サービスのご案内」
ここでは、再就職支援会社のサービスを利用するメリット・デメリットを、企業側と退職者側から紹介します。
◆退職者のケアができ、リスク回避になる。
いきなり早期退職が決まると、退職者は精神的・経済的なショックを受けかねません。そうした退職者の"新しい一歩"を応援するという意味で、再就職支援の導入は大きなケアになります。また、退職者が早期退職に対してネガティブな感情を抱いていると、最悪の場合、訴訟にもなりかねません。そうしたリスクを回避するためにも、退職者へのケアは有効です。人員削減を行う企業が「社会的な責任」を果たす、という誠意も示せます。
◆困ったときに、相談できること。
いくら人事担当者といえど、人員削減に慣れている人は多くありません。だからこそ、退職者へのケア・コミュニケーションをどう進めるかについてアドバイスをもらえることは、とても心強いです。また、相談に乗ってくれるのは人材業界の豊富なノウハウを持った専門家なので、信頼度も高いといえるでしょう。
再就職支援サービスの具体的な内容や事例に関してはこちらの資料でご説明しています。こちらもご一読ください。
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◆コストがかかってしまうこと
再就職支援のビジネスモデルは、その他の転職サービスと異なります。転職サイトや人材紹介は「人材を採用する企業」が報酬を支払いますが、再就職支援の場合は「人材を手放す企業」が支払います。価格は、支援する退職者1人につき50万円~100万が相場です。経営状況が不安定ななか、さらにコストがかかってしまうのは、痛手かもしれません。そのため、資産に余力のある大手・上場企業が再就職支援を利用することが多いようです。
◆1人で転職活動を進める不安が、解消されること
早期退職をする退職者は、いきなり転職市場で活動することになります。特に早期退職の対象になるのはミドル、シニア層なので、年齢がネックで就職が決まらないケースもあります。1人で職場探しをするのは、とても不安です。その点、再就職支援を利用すれば、専任のキャリアコンサルタントがパートナーになります。自己分析や面接練習にも付き合ってくれるため、安心して就職活動を進められ、早期に再就職できるチャンスも高まるでしょう。
◆さらなるスキルアップを図れること
再就職支援会社の多くは、その他の人材事業で培った知見を活かし、豊富なセミナー・研修サービスを行っています。例えば、「Word・Excel」といったPCスキルを学べたり、ディスカッションの研修でコミュニケーションスキルを磨けたりします。また、アセスメント(自己評価のツール)を利用して、自分の強みを再確認もできます。退職後にスキルアップを図ることで、自信を持って新しい職場へ就職できるという利点もあるのです。
◆「退職後はのんびりしたい」という人には向かないこと
再就職支援のサービスは、退職後すぐにスタートします。目的は「早期に再就職先を見つけること」なので、再就職に対して積極的になっている利用者が多いです。ただ、「再就職はしたいけれど、そんなに急いでいない」「退職後は、しばらく計画も立てずのんびり過ごしたい」という人にとっては、合わないサービスかもしれません。
◆勤めている企業が「再就職支援」を導入していないと、サービスを利用できないこと
民間の再就職支援サービスは、まず早期退職を募る企業が「再就職支援会社」と契約するところから始まります。つまり、もしも勤めている会社が契約していなかった場合、退職者は再就職支援を利用できません。退職者自身の意志だけではサービスを利用できない点が、デメリットだといえます。
民間企業だけでなく、自治体も再就職支援のサービスを行っています。両者の違いは何なのか、紹介します。
自治体の再就職支援とは、離職中の人材に対して、専任のキャリアカウンセラーがカウンセリング・求人の紹介・面接対策・履歴書の添削などを行う非営利のサービスです。また、就職活動に役立つ知識やノウハウを学べる研修・セミナーを実施し、利用者の能力開発も支援しています。
サービスの概要自体は、民間企業と大きく変わりません。退職者が利用する際の料金も、民間企業と同じく基本的に無料です。ただ大きな違いは、勤めていた企業が「再就職支援会社」と契約をしていなくても、退職者の意志で利用をスタートできる点です。再就職支援サービスを提供する自治体に申し出れば、その時点からサービスを利用できます。
また、自治体の再就職支援は都道府県ごとに事務所が置かれているケースが多いです。例えば、東京しごとセンター、千葉県ジョブサポートセンター、OSAKAしごとフィールド、福岡県中高年就職支援センターなどが挙げられます。なかには自治体から委託を受けて、人材会社がサービスを提供している場合もあります。
以下では、民間企業と自治体の再就職支援サービスを比べたときの、その他の違いについて紹介します。
※「ハローワーク」との違いは?
ハローワークとは、厚生労働省が管轄する「職業案内」に特化した施設です。それに対して自治体の再就職支援は、面接練習や履歴書の添削、各種セミナーの実施など、利用者の就職活動"全般"をサポートしています。
自治体の再就職支援は、基本的に「退職者」に向けたサービスです。一方で民間企業は、まず「人材を手放す企業」から依頼を受け、その人事担当者に対してコンサルティング・アドバイスを行うところから始まります。サービスの恩恵を受ける対象が「人材を手放す企業」「退職者」という2者になるところが、大きな違いといえるでしょう。
自治体の再就職支援で紹介される求人は、軽作業をはじめ平易なものが多いです。一方で民間企業の再就職支援には、専門知識・マネジメントスキルなど、高度なノウハウを活かせる職種の求人もあります。その理由は、人材会社ならではの顧客ネットワークがあり、多様な求人を獲得できるからです。選択肢は、民間企業のほうが豊富でしょう。
自治体の再就職支援で受けられる研修・セミナーは、コミュニケーションや面接スキルの向上など、平易なものが多いです。一方で民間企業の再就職支援の場合は、資格を取るための専門的な研修を開催している企業もあります。退職後のスキルアップ・資格取得を本気で考えるのであれば、民間企業のほうが適しているといえるでしょう。
早期退職の増加によって、今「再就職支援」のニーズが高まっています。そのため、再就職支援会社の数も少なくありません。そこで今回は、人材を手放したい企業の視点で、契約する再就職支援会社を選ぶときのポイントを、大きく3つに絞って紹介します。
退職者にとっては、自分の希望する職場へ再就職できるのがいちばんです。そのためには、再就職支援会社が退職者の要望に沿うような求人を開拓できるか(求人開拓力)が重要だといえます。具体的には、グループ会社が人材系のサービスを行っていたり、全国に多くの営業所があったりすると、求人の開拓先も広いといえるでしょう。
どのくらいの期間で再就職できるかは、退職者が気になる部分だと思います。あまりに時間がかかりすぎると、その分だけ精神的な不安・経済的なダメージも大きくなってしまうからです。そのため、就職までの期間にも注目すべきです。ちなみに、再就職までの期間は「6ヶ月以内」がひとつの基準になるといわれています。その期間のうちに再就職を成功させている人の数・割合がどれくらいなのか、ホームページで実績を確認しておくとよいでしょう。
※参考:離職者に対する再就職支援システムの現状と課題|独立行政法人 労働政策研究・研修機構(PDF)
大切なのは、いかに退職者の「適性」に合う職場を見つけられるかです。こうしたマッチングの精度を示す基準として、新しい職場での「定着率」にも着目すべきでしょう。高い定着率は、退職者を親身に支援し、適性をよく見極めた結果だといえるからです。再就職の"後"も考えることで、退職者の人生をより良いものにできます。
民間の再就職支援会社は、自治体の再就職支援と比べ、求人の幅広さ・能力開発の手厚さなどが特徴です。会社ごとにサービス内容や求人も違うため、ぜひ各社の違いを検討したうえで、再就職支援の導入を決めていただければと思います。
ライトマネジメントの再就職支援サービスは、多様な業界、職種、年齢のお客様にお選びいただき、国内での支援者数80,000人、世界では支援者数400万人を突破。世界トップクラスの再就職支援会社です。経験豊富なコンサルタントが専門的なご提案をします。