一般的に、転職をしようとする多くの方々が、漫然とした「不安」や「悩み」に直面します。「何から手を付ければ良いか?」「何をすれば良いか?」「どのような選択肢があるか?」等々、この手の不安・悩みは一見すると尽きません。しかし、だからこそ、体系的に戦略的に進める事が、不安や悩みを解消する方法なのです。
例えば、「何から始めれば?」、「何をすれば良いか?」、「いつ決まる(内定)のか?」などの不安は、やる作業の全体像が見えないから抱く不安に他なりません。「転職活動の作業の全容はこのようになります。こういうプロセスがあり、それを経て内定が取れます。」とその実証された手法の全容が明確になれば、「ああ、そうか、そんなものなんだ。」と少し楽になります。つまり確度の高く分かりやすい手法を知る事で、不安要素を取り除く事が大事です。
さて、最初の作業として取っかかるのが、「能力図表」の作成(強み分析)と就労に対する「価値観」の分析になります。この2つにより、どのような業界、企業、職種で自分の強みが活きそうなのかが分かるようになるからです。これで、迷いはだいぶ無くなるはずなのです。
先ず自身のこれまでのキャリアで培ってきたスキルを細かく最小単位にします。一般の誰もが分かるスキル名で、20~30スキル用意してそれらを、「出来る vs 出来ない」のX軸と「好き vs 嫌い」のY軸、つまり4象限の図表にマッピングします。ここで大事なのは、「好きで出来る」領域にマッピングされたスキルに注目する事です。というのも、これらのスキルは、その活動者にとって情熱を持てるもので、自然とこれらのスキルを使う活動に向く傾向がある、そういう領域なのです。なので、これらのスキルが活きる・そのまま転用できる業界・職種が何か?を特定して行く事が最優先になります。
次に第2優先なのが、「嫌いだけど出来る」領域。まあ、そこまで嫌いとまではいかなくても、「どちらかと言うと好きではない、でもまあ出来るし、成果としても出せる」というスキル。企業の業務としては、これらスキルがある人であれば良いので、この領域のスキルも特定しておくとだいぶ楽になります。後はこれらの最優先・第2優先のスキルが活きる・転用できる業界・職種を洗い出して行けば良いのです。
人は、仕事内容そのものだけでなく、その進め方、職場の雰囲気、企業イメージ、などが実は気になります。自分に「合う」のか「合わない」かなどは、全て「快適に思えるかどうかの価値観」で決まります。つまり同じ経理の仕事でも、「マニュアルがあるので、それに従って毎日やるだけで良いんです。」と言われて安心する人もいれば、「これまでのご自身でされてきたなりで良いし、型なんてありませんので、自由な発想で進めて下さい。」と言われた方が安心するかです。また、その職場までの通勤時間や給与レンジ、組織風土(シーンとした中での仕事の毎日か、和気あいあいとした中での毎日か、など)、組織規模(数十名の小さな企業か数千~数万名の企業か)、などなど、様々な価値感があり、これで居心地やモチベーションがだいぶ変わるのです。
なので、今と同業界・同職種だからと言って、応募するのは必ずしも正しくはありません。その求人をしている企業や職場などについて調べる必要があり、その上で、「応募する・しない」を決めるのが「しっくりくる転職」になります。
さあ、これらが明確になると、おのずと(1)の方向性とこの(2)の価値感で、だいぶ業界と職種の「幅」が明らかになってきます。このような形で自身の「強みの分析」と「価値観の分析」をすれば、迷う事少なく、業界・職種の範囲が特定できるようになります。だいたい、人が転職で迷う事と言えば、この両方をしっかり分析する事で、解決できるものなのです。
この他、転職用のスキルはあと少し先がありますが、弊社の再就職支援では、このように体系的に転職を進める事で不安要素を取り除く支援をコンサルタントがお手伝いします。詳しくはぜひお問合せ下さい。
2004年から株式会社ライトマネジメントジャパン(現マンパワーグループ)にて勤務。日英のバイリンガルであることから、外資系企業向けの組織再編を含む組織開発のコンサルティングに関わり、様々な業界・組織規模の外資系企業約900社にて、1,900ほどのプロジェクトのリードを行っている。このような経験から得られた各社マネジメント層の意識やスキル・レベルのバラツキ感を目の当たりにしてきた結果、管理職層へのトレーニングやワークショップも顧客企業のニーズに合わせて日英両方の言語で実施している。また、エグゼクティブに対してはエグゼクティブ・コーチングを多数実施している。
これまでのキャリアの中では、米国のデジタル放送会社での受信機開発プロジェクトマネージャー、日系アパレル商社の海外工場(米国、インド、香港)の生産管理、企業研修会社でのコンテンツ開発・ファシリテーターを経験している。