不況による早期離職が話題になっている今、退職者に対するケア「再就職支援」が注目を集めています。ただ、実際のところ「再就職支援」というサービスの中身を詳しく知っている方は少ないかもしれません。そこで今回は、「再就職と転職の違い」「再就職支援と、転職サイト・人材紹介の違い」などを分かりやすく紹介します。
また、企業の取り組みとしての「再就職支援」にも様々なサービスがあります。
サービスの具体的な内容や事例に関してはこちらの資料でもご説明しています。こちらもご一読ください。
資料ダウンロード 「再就職支援サービスのご案内」
まずは、言葉の意味から2つを比べてみましょう。
「再就職」とは、退職した後に失業期間(ブランク)を経て、新しい職場へ就職することです。「転職」とは、在職中に次の就職先を見つけ、退職と同時に新しい職場へ移ることを意味します。つまり、大きな違いは「ブランク」があるかどうかです。ちなみに、大きく分けて「退職」には3種類あります。自分の意思で退職する「自己都合退職」か、60歳や65歳を迎えて辞める「定年退職」か、会社の業績悪化・方針転換などで定年前に退職する「早期退職」のいずれかが一般的です。
再就職支援とは、やむをえず「早期退職」することになった退職者の"再就職先"探しを支援するサービスです。一般的には人材紹介・転職サイトなどのノウハウを持つ「人材会社」が、再就職支援のサービスを行っています。
サービスの流れとしては、まず「再就職支援会社」が、社員の早期退職を実施する企業と契約を結びます。その後、再就職支援会社のキャリアコンサルタント(またはキャリアカウンセラー)が退職者と面談し、サポートを行います。
サービスの内容は、キャリアコンサルタントによる退職者へのカウンセリング、求人紹介、履歴書の添削、面接の練習、再就職後のフォローなどです。再就職支援会社によっては、再就職先に内定するために必要な知識・スキルを学ぶためのセミナーや講義を開催しているケースもあります。また、社員が早期退職を選択する前に、キャリア相談を行うケースも多いです。
ちなみに再就職支援は、企業が早期退職者のケアのために導入することが一般的です。多くの企業が「社会的な責任として、退職者の"新しい出発"を支えたい」という想いから、導入しています。
経営者や人事には常時適切な人員体制を構築することが求められ、様々な雇用調整施策を検討する必要があります。人事施策に関しては、法的な観点はもちろん、従業員の心理や不利益に対して十分に配慮した慎重な検討が求められます。考え方等を解説したセミナーもご覧ください。
動画セミナー 雇用調整の考え方と進め方
「再就職支援」と似ているのが、「転職サイト」と「人材紹介」のサービスです。その違いについて紹介します。
まずは、「転職サイト」のビジネスモデルから説明します。
「転職サイト」は、人材を採用したい会社が「転職サイトの運営会社」にお金を払い、サイトに求人を掲載するという形が一般的です。そのため、サイト上には幅広い業界・職種の求人が掲載され、それを見て利用者が好きな企業へ応募します。
「再就職支援」との違いは、大きく2つあります。
1つは、お金を払うのが誰か、ということです。転職サイトは「人材を採用したい企業」が転職サイトにお金を払うのに対して、再就職支援は「人材を手放す(社員の早期退職を実施する)企業」が再就職支援会社に支払います。また転職サイトは「求人のサイズ・仕様・掲載期間など」によって金額が決まり、再就職支援は「支援する退職者の人数」で決まることが多いです。
2つめの違いは、利用者に対するサポートの有無です。転職サイトの場合、基本的に利用者に対する人的なサポートはありません(※最近では、書類添削・面接対策などのサポートを行う転職サイトもあります)。利用者は自分でサイトを閲覧し、履歴書を送り、面接までの手続きを進めます。一方で再就職支援は、専任のキャリアコンサルタントが利用者の履歴書添削・面接練習も行い、再就職まで手厚くサポートしてくれます。
こちらも、まずは「人材紹介」のビジネスモデルから説明します。
「人材紹介」は、人材を採用したい企業が「人材紹介会社」と契約を結び、最適な人材を見つけてもらうという形が一般的です。ちなみに人材紹介会社に登録すると、キャリアカウンセラーから自分に合う企業を紹介してもらえます。キャリアカウンセラーは登録者に対して、履歴書の添削・面接練習など、サポートを行います。そして入社が決まれば、人材を採用する企業が人材紹介会社へ報酬を支払う仕組みです。
「再就職支援」との違いは、大きく2つあります。
1つは、やはり報酬を支払うのが誰か、という違いです。人材紹介の場合は、「人材を採用することになった企業」が、人材紹介会社に報酬を支払います。金額は、「入社することになった人材の年収×○○%」という基準で決まることが一般的です。一方で再就職支援は、先ほど述べたように「人材を手放す企業」が報酬を支払います。
2つめは、サービスがいつ始まるか、という違いです。人材紹介の場合は、利用者が自分で人材紹介会社を見つけて登録しなければ、求人紹介・面談などのサービスは始まりません。一方で、再就職支援の場合は「人材を手放す企業」が再就職支援サービスの導入を決めて、退職者がサービスの利用に同意すればすぐに始まります。
いざ「再就職支援」を導入したときの、具体的なメリットは何でしょうか。まず"企業"の視点から見てみます。
急な早期退職を余儀なくされると、退職者は十分な準備もできないまま、転職活動を行うことになります。そうした退職者の「精神的・経済的ショック」を和らげる意味で、再就職支援は導入する価値があるでしょう。実際、キャリアコンサルタントがまず退職者との面談を通じて、心のケアを行ってくれます。また早期に再就職先が決まれば、生活を立て直すことも可能です。
企業が社員に早期退職させるときに注意したいのが、退職者との軋轢です。「会社から無理に辞めさせられた」「何のケアもなかった」と退職者に反感を持たれると、さまざまなリスクが生まれます。例えば、競合他社に入社して企業秘密を公にされたり、訴訟を起こされたりしかねません。そのリスクを回避する意味でも、再就職支援は有効でしょう。なぜなら、企業が退職者の再就職を支えるというのは、「社会的な責任を果たそう」とする意思表示でもあるからです。会社として誠意を伝えることで、退職者とのトラブルを未然に防げる可能性も高まります。
「法令順守での取り組み方」「退職者とのコミュニケーションはどうしたらよいか」「どのように退職者への支援を進めたらよいか」なども、必要に応じて相談に乗ってくれます。社員の早期退職への対応に慣れていない人事担当者にとって、こうしたアドバイスは心強いでしょう。
続いては、再就職支援を導入したときの"退職者"側のメリットを紹介します。
早期退職が決まれば、普通なら一人で転職サイトや人材紹介会社に登録し、再就職先を探す必要があります。ただ、企業から早期退職を求められる人材の多くは50代をはじめとするミドル層です。年齢がネックで、再就職先探しが難航する可能性も大いにあります。その点、雇用元の企業が再就職支援サービスを導入していれば、専任のキャリアコンサルタントが退職者を"パートナー"として支えてくれます。自己分析から求人の紹介、再就職先が決まった後の入社準備までサポートしてくれるキャリアコンサルタントは、かなり頼もしい存在になることでしょう。
再就職支援会社の多くは、人材紹介・人材派遣・転職サイトの運営といった事業部を別に持つ企業も多いです。また、全国に営業拠点を持ち、求人を開拓できる広範囲な顧客ネットワークを持っている企業もあります。だからこそ、退職者が「再就職支援」でしか応募できないレアな求人に出会えるチャンスもあるのです。一人で求人を探し出すよりも多様な求人に応募でき、また再就職までスピーディに進められる可能性も高くなるでしょう。
再就職支援会社のなかには、退職者が豊富なセミナー・研修・アセスメント(自己分析のツール)を利用できる企業もあります。例えば、Word・Excelのスキルを学んだり、ワークショップを通じてコミュニケーション能力を高めたり。再就職先の内定を獲得するために必要な知識・スキルを、退職後に身につけることもできるのです。
いざ急に退職を迎えたとき、退職者が一人で転職市場という大海を渡っていくのは至難の業だといえるでしょう。だからこそ、社員の早期退職を希望する企業が"最後の福利厚生"として、再就職支援サービスを導入するケースが多いのです。退職者の「第二のキャリア」を考え、再就職支援の導入について一度検討してみてはいかがでしょうか。
再就職支援のプロセスや再就職支援の企業を選ぶ基準など、より詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
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