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2021/10/0860歳からの再就職成功させるポイント

平均寿命が男女ともに80歳を超えてすでに数年が過ぎています。しかし、厚生労働省が発表した、「平成29年(2017年)就労条件総合調査」では、定年制を定めている企業の79.3%が定年の年齢を60歳に設定。これにより、再雇用や再就職の道を探す定年退職者は少なくありません。そこで、今回は60歳からの再就職先の探し方、再就職を成功させるポイントや注意点についてお伝えします。

≪一緒に読みたい記事≫定年後は「再就職」と「再雇用」、どちらを選ぶべき?仕事の探し方も紹介!

60歳代の再就職先の探し方

60歳代で再就職先を探す際の方法には、主なものとして次の5つが挙げられます。

ハローワーク

厚生労働省が管轄する職業紹介所です。全国各地に設置されていて、65歳以上を対象とした「生涯現役支援窓口」を設置しているところもあります。

シルバー人材センター

定年退職者を対象にした会員登録制の職業紹介サービスです。全国の市町村に設置されています。定期的な仕事よりは短期・臨時といった仕事が多いうえ、配分金という報酬制が採用されているため、多くの収入を得たい場合には適していません。

人材紹介

民間による企業と求職者をマッチングさせるサービスです。シニア向けの人材紹介サービスが増えているため、60歳以上の方でもこれまでの経験や資格によっては適職に就ける可能性が高くなっています。

シニア向け転職サイト

ネットを使った再就職サービスです。最近ではシニア専用の転職サイトも登場し、自宅から気軽に職探しが行えます。

再就職支援

早期退職や定年退職に伴って再就職を目指す人向けの人材サービスです。キャリアコンサルタントの支援を受けられるのが大きな特徴です。

再就職を成功させるためのポイント

60歳を過ぎて再就職を成功させるためにはいくつかのポイントがありますのでご紹介します。

現在のスキルを生かせる仕事を探す

職種にもよりますが、企業が60歳以上の方に求める最も大きなものは「経験」です。後進の指導や育成も含め、即戦力として利益を上げられる人材が求められます。そのため、現在の自分が持つ業務に関する技術的なスキルに加え、コミュニケーションを円滑にするヒューマンスキルを最大限発揮できる仕事を探せば再就職の道も広がるでしょう。

資格を取得する

現在のスキルだけでは再就職は難しいと感じている場合は、新たに再就職につながる資格を取得する方法もあります。具体的には、ファイナンシャルプランニング技能士や中小企業診断士、社会保険労務士といった国家資格のほか、販売士やDIYアドバイザーなどの民間資格もおすすめです。また、マンション管理士や電気工事士の資格を取得すれば、独立開業の夢も広がります。

例えば、マンション管理士の資格取得年齢を見ると、合格者の平均年齢は46.5歳、最高年齢は77歳です(平成30年度マンション管理士試験結果より)。また、60歳以上の受験者数も全体の22.1%と非常に高い数字となっています。

そして、就職先については、不動産賃貸業、管理業を行っている株式会社東急コミュニティーで、2020年には60歳以上の人材を656名採用している実績があります。マンション管理士の資格を持っていることは、有利な条件の一つとして考えらます。※)

ただし、資格取得は再就職の可能性を高める効果はありますが、必ずしも再就職につながるわけではない点は理解しておく必要があるでしょう。

※参考:事例 | 独立行政法人高齢·障害·求職者雇用支援機構

趣味を仕事にする

長く続けていきたいと思うのであれば、好きなことを突き詰めて仕事にするのもよいでしょう。安定した収入を得ることも重要ですが、60歳を過ぎて無理をしすぎると体力的にも長続きはしません。そうなれば結果として収入も少なくなってしまいます。

長く楽しく続けることを重視するのであれば、趣味やこれまではできなかった好きなことにチャレンジするのもよいでしょう。

≪一緒に読みたい記事≫再就職で成功する人の特徴とは?活用すべき人材サービスも紹介!

再就職を進めるうえでの注意点

60歳を過ぎての再就職で気になる点として、収入と再就職先がなかなか決まらない不安が考えられます。そこで、再就職を進めるうえで3つの注意点を紹介します。

①再就職の目的・優先順位を整理する

転職同様、とりあえず程度で面接を受けても採用はされません。60代の再就職は現実的には厳しいことも事実です。そのため、貴重な選考の機会をモノにする準備は不可欠といえます。その際、「お金のためとして割り切って働く」「収入は減っても充実した仕事の満足感を得る」など優先順位は人によってさまざまなので、自分なりに再就職の目的、そして希望条件の優先度を整理し、明確にすることが重要です。

②生活の収支を正しく計算しておく

再就職先を探している時でも生活はしていかなければなりません。そのためには、生活の収支を正しく計算しておくことも重要です。できれば在職中にある程度の試算はしておくべきでしょう。ただ、どれだけ準備をしても不安がゼロになるわけではありません。

そこで、どうしても在職中に再就職先を見つけられなかった場合、65歳以上であれば高年齢求職者給付金という高齢者向けの失業保険があります。年金との併給も可能なため、本当にやりたい仕事をするまでのつなぎとして利用することをおすすめします。

③応募先に応じた書類の作成

経験を買われる再就職において、期待に応えられることを伝えられなければいくら経験があっても採用確率は上がりません。書類、面接ともにきちんと企業のメリットとなる自分ならではのスキルを伝えられるよう準備が必要です。ただし、その際、これまでの経歴に固執し過ぎると可能性の幅を狭めてしまう結果になってしまいます。そうした意味でも新たな職場で自分が発揮できるスキルの棚卸をしっかりとしておくことが重要です。

できるだけ早い段階から動き出すことが再就職の可能性を高める

2021年4月より施行された改正高齢者雇用安定法により、70歳までの就業確保(努力義務)が加わりました。しかし、一律定年制を敷いている企業はまだまだ多く、特に65歳を超えての再就職は簡単ではありません。

60歳を過ぎて再就職を成功させる最大のポイントは、できるだけ早く自分の足で再就職の準備を始めることです。もちろん、さまざまなサービスの活用も欠かせません。しかし、まずは自分で本当にやりたいことは何なのか、それを仕事とするには何をすべきなのかを明確にしましょう。そして、それを実現させるためにも在職中から再就職への準備を始めることが、60歳を過ぎてからの再就職を成功させるポイントだと言えます。

改正高齢者雇用安定法で再就職の道は拡大する?

高齢者の再就職促進、定年退職者の就業機会の確保などを目的とし、1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」(1986年に高年齢者雇用安定法に名称変更)が施行されました。

その後何度かの改正を経て、2021年4月より改正高齢者雇用安定法として、従来の65歳までの雇用確保(義務)に70歳までの就業確保(努力義務)が加えられました。この法改正により、実際に60歳代の再就職は拡大するのでしょうか?

ここで問題となるのは、一律定年制がなくなるわけではない点です。冒頭で触れた、「平成29年(2017年)就労条件総合調査」で、定年制を定めている企業の79.3%が定年の年齢を60歳に設定していると説明しました。これが65歳まで延長されるとなれば、それだけ退職までの期間が長くなります。

しかし、定年が65歳に延長されても一律定年制が残されたままでは、仮に再就職できても実際に働けるのはほんの数年です。そのため、高い技能や経験があり、そのうえでそれを生かせる仕事でない限りは60歳以上の方が新たに就職できる可能性は逆に低くなると考えられます。

ただし、今回の法改正では、高齢者(65歳以上70歳未満)が離職する場合、次のような再就職援助措置を講じるよう努めることとしています。

  • 求職活動に対する経済的支援
  • 再就職や教育訓練受講等のあっせん
  • 再就職支援体制の構築

そのため、これらの措置をうまく活用すれば、職種によっては60歳を超えても再就職の道が開ける可能性が高まっていくかもしれません。

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