2024/05/1330年前といまの就職活動の違いは?50代・60代が転職や再就職を成功させる5つのコツ!
50代・60代での転職や再就職は難しいともいわれています。
現在就職活動をしているものの、なかなか採用に結びつかず悩んでいる方もいることでしょう。なかには、就職活動をしたくても、採用されるのかどうか不安で踏み出せない方もいるかもしれません。しかし、年齢だけで転職や再就職を諦めてしまうのはもったいないです。
本記事では、50代・60代の就職活動についての現状や、30年前の就職活動との違い、転職・再就職を成功させるコツなどを解説します。転職や再就職を目指している50代・60代の方は、ぜひ参考にしてください。
50代・60代の転職の実態
厚生労働省が公表している「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、50代・60代の転職入職率(※)は5.1%~11.4%となっています。男性は40代・50代までは転職入職率が低くなっていますが、60代になると高くなる傾向です。
男女を通じた就業形態別にみた場合、女性の24歳以下を除いて全体的に一般労働者よりもパートタイム労働者のほうが、転職入職率が高くなっています。
※常用労働者数に対する転職入職者数の割合
性別・年代別の転職入職率は次のとおりです。
年代 |
男性(%) |
女性(%) |
19歳以下 |
19.9 |
18.9 |
20~24歳 |
14.7 |
14.7 |
25~29歳 |
15.3 |
14.1 |
30~34歳 |
9.5 |
14.0 |
35~39歳 |
7.7 |
10.7 |
40~44歳 |
5.7 |
9.6 |
45~49歳 |
5.4 |
10.0 |
50~54歳 |
5.1 |
9.6 |
55~59歳 |
5.7 |
7.3 |
60~64歳 |
11.4 |
9.4 |
65歳以上 |
9.7 |
5.4 |
出典:令和4年雇用動向調査結果の概況 | 厚生労働省
また、企業の中途採用の方針として、年齢層が高くなるほど積極的な採用を控える傾向があります。35歳以上になると、「積極的に採用を強化したい」という企業は少なくなり、年代が上がるにつれて、その傾向は強くなっているようです。
企業の中途採用の年齢別の採用方針は次のとおりです。
採用方針 |
35歳未満(%) |
35歳以上45歳未満(%) |
45歳以上55歳未満(%) |
55歳以上(%) |
積極的に採用を強化したい |
43.5 |
12.1 |
3.1 |
1.0 |
良い人材であれば採用したい |
52.2 |
64.1 |
39.8 |
23.5 |
あまり採用は考えていない |
1.5 |
17.4 |
48.9 |
67.0 |
無回答 |
2.8 |
6.4 |
8.2 |
8.5 |
出典:中途採用に係る現状等について(令和元年)│厚生労働省職業安定局
50代・60代の転職・再就職が難しいといわれる理由
50代・60代になると転職や再就職が難しくなる側面があるようです。ここでは、50代・60代の転職・再就職が難しい理由を解説します。
給与水準が高い
一般的に年齢が高いほど給与水準が高くなる傾向があります。50代・60代で転職や再就職する場合、求職者の希望年収も高くなりやすいです。一方で、企業によっては人件費を抑えるために、給与水準の低い若い世代の人を多く採用したがる傾向があります。そのため、採用する側と就職を希望する側でミスマッチが発生し、採用に至らないケースが多くなります。
定年までの期間が短い
年齢が高くなるほど定年まで働ける期間が短くなることも、企業が50代・60代の採用にあまり積極的でない理由として挙げられます。仮に、定年が65歳の場合、55歳で採用すると、定年まで10年しかありません。一方、若い年代であれば、30年以上働いてもらえる可能性があります。そのため、企業は長期間働いてもらえる若い年代を採用したがる傾向があるのです。
年齢的に体力が低下していると判断される
一般的に年齢が高くなるほど体力は衰えてきます。実際に、50代を迎える頃には筋力や活動量が低下してくる人も少なくありません。経験値は上がる一方で、「若い頃よりも仕事量がこなせなくなった」「疲れがなかなか取れない」など、体力的な衰えを感じている方もいるでしょう。特に、体力を必要とする仕事では、50代・60代よりも体力がある若い人を必要としている可能性があります。
情報のアップデートができていない
50代以上の方が新卒で就職活動をしていた頃とは、就職活動の手法や採用の基準が変わってきています。現在は、インターネットを通じて求人情報を探すことが一般的です。また、採用の基準も変わってきているため、応募書類や面接でのアピール方法もやり方を更新しなければなりません。昔といまの就職活動の違いを知らず、昔のやり方のままで活動していると採用側の目に留まりにくいため、効率が悪く、結果として転職や再就職活動が長引く可能性があります。
30年前といまの就職活動の違い
前述のとおり、現在50代・60代の方が新卒で就職活動をしていた時期といまとでは、就職活動のしかたも変わってきています。ここでは、30年前といまの就職活動の違いについて解説します。
求人倍率の違い
現在50代・60代の方が新卒で就職活動をしていた時期は1990年代頃でしょう。当時は、求人倍率が高く、1990年には2.77倍、1991年には2.86倍と高水準となっていました。しかし、50代・60代の求人倍率に限っては、かなり厳しかったと予想されます。参考として20年前の数字をみると、倍率は1倍を切っています。
【2005年の求人倍率】
・50〜54歳:0.97倍
・55〜59歳:0.82倍
・60〜64歳:0.78倍
(出典:eStat「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)>年齢別労働市場関係指標」)
そのため、新卒や若手の就職活動においては、30年前でも有利に進みましたが、シニア層には厳しい状況だったといえます。しかし、現在は下記の通り50代以降の求人倍率は上昇傾向にあります。
【2020年の求人倍率】
・50〜54歳:1.76倍
・55〜59歳:1.79倍
・60〜64歳:1.57倍
(出典:eStat「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)>年齢別労働市場関係指標」)
現在の50代・60代以降の就職活動は、昔の50代・60代よりは比較的進めやすくなっているといえるでしょう。しかし、新卒時代のようには有利には進められないため、対策を徹底することが重要です。
求人の探し方の違い
以前の求人探しは、紙媒体の求人誌やハローワークで提供されている資料を活用することが多かったのではないでしょうか。しかし、15年ほど前から求人サイトでの求人探しが普及し、インターネットを活用した就職活動が増えてきています。また、最近では、ダイレクトリクルーティングやヘッドハンティング、さらにSNSを通じた採用活動に取り組む企業も多いです。
高齢化や感染症の流行などの影響で、不安定な社会が続いています。その結果、採用担当者は「ただ情報を掲載して応募を待つ」という採用から「自ら欲しい人材にアプローチする」という方法に戦略を変換しているのです。過去の就職活動においては、紙媒体の求人誌だけを見ていれば、希望する求人を探しやすかったでしょう。しかし、現在は、求人サイトやSNS、そのほか就職関連サイトやアプリケーションを活用しなければ、希望する求人に出会えないこともあります。
社会の変化にあわせて、オンラインでの求人探しや、採用担当者に見つけてもらいやすいような情報発信をするなど、応募者自身も変化に柔軟に対応していくことが求められているのです。
採用で重視するポイントの違い
以前は中途採用でも、大手企業に勤めていた事実や偏差値の高い学校に通っていた学歴などによって採用されることもあったようです。しかし、採用にあたり、大学の偏差値を重視しない企業も増えています。大学の知名度よりは人物や能力を重視して採用活動を行う企業もあり、有名な大学を卒業しても就職に有利とはいえない状況です。
50代・60代の採用で重視されているのは「経験の有無によらず、チャレンジする意欲があるか」「スキルアップし続けられるコンピテンシーがあるか」といった点です。つまり、これまで重要視されていた経験や専門性などの目に見えるスキルだけでなく、人間性や意欲のような内面も重視されるようになっています。
50代・60代からの転職や再就職を成功させる5つのコツ
年代が高くなるにつれ厳しくなるとはいえ、転職・再就職を成功させている方は少なくありません。ここでは、50代・60代からの転職や再就職を成功させるコツをいくつかの方面からご紹介します。
1.ニーズの高い職種を把握する
ニーズの高い職種を希望することで、採用してもらえる確率も高まります。まず、業界・職種・雇用形態などにこだわらずに、中高年の採用を積極的に行っている企業や業種を受けてみる方法があるでしょう。飲食店やホテルの接客、販売は積極的にシニアを採用していることが多いです。また、意外かもしれませんが、事務やコールセンターでもシニア採用が進んでいます。体力に自信がないという方は、座っての作業が多い事務作業が向いているかもしれません。
未経験の業界・職種でも、社会人経験や日頃の経験を基にした応用力でスキルの不足を補える可能性もあります。実務経験がなくとも、仕事や生活をする中で得意と感じた領域には積極的に挑戦してみても良いでしょう。
2.経験や専門性をアピールする
これまでのキャリアを棚卸し、転職先で役に立ちそうな経験や専門性をアピールしましょう。ただし、転職先に受け入れてもらうには、実績や経験だけでなく、人間性も当然重要です。柔軟性や謙虚さを見せることも忘れないようにしましょう。現在働いている会社でのやり方が転職先でも通用するとは限りません。企業が求職者にどのような役割やスキルを求めているのか理解することが重要です。
3.社外での人脈を広げる
近年では、友人や知人からの紹介で採用するリファラル採用も増えています。リファラル採用の場合、採用する側にとっては、候補者の人柄やスキルなどを自社の社員から詳しく聞くことが可能です。一方で、企業側だけでなく応募する側も、知人を通して企業の職場環境を事前に知っておけます。そのため、ミスマッチを防ぎやすいといわれている採用手法です。在職中から社外での人脈を増やしておくことで、このような制度を通して転職や再就職につながる可能性もあるでしょう。
4.転職のプロに相談する
転職サイトを活用すれば、幅広い求人情報を得られる可能性があります。ただし、50代の求人は少ないのが実状です。さらに、転職サイトでは非公開の求人情報もあるため、条件にマッチする求人にたどり着けないことも考えられます。
そのようなケースを回避できるのが、転職エージェントに相談する方法です。プロしか持っていない求人を紹介してもらえることもあります。プロの力を借りることで効率的に就職活動を進められる可能性が高まります。
下記の記事では、再就職の際に活用するべき人材サービスを紹介しています。各サービスの特徴やメリットについても紹介しているので、ぜひご自身に合うサービスを見つけてみてください。
再就職で成功する人の特徴とは?活用すべき人材サービスも紹介!
5.転職や再就職以外の選択肢も検討する
転職や再就職だけにとらわれずに、起業や独立することも検討してみましょう。
最近では、シニア世代で起業をする「シニア起業」という選択肢を選ぶ人もいます。自律的に、かつ自分のペースで仕事ができることがメリットです。自身の経験値を最大限生かすことや、体力に合わせた働き方ができます。一方で、会社員とは異なり、必ず収入を得られるとは限りません。そのため、計画的に準備を進める必要があります。一口に「就職活動」といってもさまざまな方向性があります。
固定観念にとらわれず、幅広い視野でライフプラン・キャリアプランを組むことが重要です。
まとめ:広い視野を持つことが転職・再就職の成功のカギ
50代・60代での転職・再就職は厳しい傾向です。年齢が高くなるほど企業からのニーズは低くなる傾向がありますが、正しい行動や対策を実施すれば、50代・60代の転職・再就職は十分に可能です。
まずは新卒で就職活動をしていた当時とは状況が変わってきていることを理解しましょう。そして現在の状況に合わせた就職活動をすることや、自分の強みや企業側のニーズなどを客観的に把握することが成功のコツです。
さらに、これまでの経験にこだわらずに広い視野を持って求人を探してみることも大切です。その一環として、転職・再就職だけにとらわれず、起業という選択にも目を向けてみることをおすすめします。これらの実践によって、ご自身にとって有意義なキャリアを築いていきましょう。