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2021/08/17計画的偶発性理論とは?再就職を考えた際の計画的偶発性理論の生かし方

「現在の仕事から一歩、ステップアップをしたい」「現在とは異なる仕事に挑戦したい」など、理由は違えど新たな道へ進むために再就職を検討している方は多いのではないでしょうか。しかし、急速に変化する社会情勢のなかで、未来を正確に予測し、計画を立てて進んでいくことは簡単ではありません。そこで知っておきたいのが「偶発的な事を利用して、キャリア形成に役立てる」という考え方でもある、計画的偶発性理論です。今回は再就職を検討する際に把握しておきたい計画的偶発性理論の概要や考え方、再就職への生かし方についてお伝えします。

計画的偶発性理論とは?

計画的偶発性理論とは、スタンフォード大学の教授であり心理学者でもある、ジョン・D・クランボルツ氏が1999年に発表したキャリアに関する理論です。

クランボルツ氏がビジネスで成功を収めた人を対象に調査を行ったところ、実にその8割が、成功の要因は予期せぬ偶然によるものであったと回答。さらに、彼らが18歳のときに思い描いていた職業に実際に就いて働いている割合は全体の2%に過ぎなかったという結果が出ました。

この結果から導き出されたのが計画的偶発性理論です。ポイントとなるのは次の3点です。

1. キャリア形成にとって重要なターニングポイントの多くは、偶発的な出来事に影響を受けるものであること。
2. 偶発的な出来事からチャンスをつかむには、常に努力を怠らず最善を尽くし積極的にチャンスをものにする態勢を整えること。
3. 偶発的なチャンスが訪れるのをただ待つのではなく、自らが意図的に行動してチャンスを増やしていくこと。

計画的偶発理論は将来の目標を持たず、その場その場で対応していくというものではありません。目標を実現するための選択肢を広く持ち、状況に応じてやり方を変えるだけです。そのうえで、新たな可能性を拡大するために自らが計画的偶発性を起こしていこうというのが基本的な考え方になります。

計画的偶発性理論が注目される背景

なぜ、今、計画的偶発性理論が注目を集めているのでしょう。その主な理由として考えられるのは従来のキャリアプランの限界です。従来のキャリアプランは、将来の目標を立て、そこにたどり着くための道筋を明確にしたうえでキャリアを積み重ねていくものでした。もちろん、現在でもこの考え方がなくなったわけではありません。実際にこの考え方でキャリアアップした方も少なくないでしょう。しかし、このキャリアプランだけでは、ITの技術の進化や、社会情勢の変化に対して併せていくことが難しくなってきています。

・IT技術の進化

大きいのは世の中の変化、特にIT技術の進化スピードが以前よりも早くなっている点です。

ビッグデータ、クラウド、AIといった先端IT技術はほんの数年前までは現実的なものではありませんでした。それが2000年代に入り急速に進化を遂げ、現在ではそれらの技術がビジネスを行ううえで欠かせないものとなっています。そして、先端IT技術は今現在でもスピードを緩めることなく進化を続けています。そのなかで10年先、20年先を見越したうえでのキャリアプランを考えるのは非常に困難になっているのです。

・社会情勢の変化

社会情勢の変化もキャリアプランの形成に大きな影響があります。世界は、ほんのちょっとした変化ですべてが大きく変わってしまうことも珍しくありません。その際たる例が新型コロナウイルスの感染拡大です。2019年の時点で感染症がここまで世界を変えてしまうとは誰が予測できたでしょう?

また、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震など、人間にはどうすることもできない変化は、ある日突然起こります。そのなかでキャリア形成をしていくには、何が起きても柔軟に対応していく姿勢が必要です。

このような背景から、今、計画的偶発性理論が注目を集めているのです。

計画的偶発性を自ら起こすために必要なポイント

前項で、計画的偶発性理論の基本となる3点を説明しました。次に実際に自らが行動を起こし、計画的偶発性をより多く起こすためには何が必要なのか、5つのポイントを紹介します。

1.好奇心

偶発的なチャンスを増やすには新しいものに興味を持つ必要があります。朝起きて会社に行って仕事をして、帰ってきて食事をして寝る。この生活をただ繰り返しているだけでは新しいものに出会う機会は増えません。それほど興味を引かれなくても、新しいことを一度は試してみましょう。それが新たな出会いにもつながります。

2.持続性

さまざまなものに興味を持ち、試してみたもののなかで、「楽しい」「勉強になる」などと思ったものはうまく行かなくても諦めずに継続してみることが重要です。仮に直接的に仕事につながらなかったとしても、あとになって思わぬところで役に立つ可能性があります。これこそ、計画的偶発性を生かすためのポイントであると言えるでしょう。

3.楽観性

計画的偶発性は、従来のキャリアプランのように自分が立てた計画に沿って進めていくものではありません。そのため、自分のキャリアプランに必要ない仕事でも、なぜやらなくてはならないのかなどと悲観的になれば、偶発的なチャンスも逃げてしまうでしょう。

また、重要な仕事であればあるほど、失敗してはいけないと不安や責任感にさいなまれてしまう方は多いのではないでしょうか。そうした際も、「心配ない」「何とかなる」といったポジティブな意識を強く持つことで新たな自分に気づける可能性が高まります。

何をやっても経験を積ませてもらっていると考え、今できることを精一杯やることが重要であり、そのためには何事にも楽観性を持って取り組むようにしましょう。

4.柔軟性

仕事にこだわりを持って取り組むのは非常に重要ではありますが、ひとつのやり方、考え方に固執しすぎてしまうと、突然のトラブルに対応できません。計画的偶発性を起こすには、自分のこだわりに固執しすぎず、常にいくつかのパターンを考えたうえで取り組むことが欠かせません。

5.冒険心

目の前に大きなチャンスが訪れても、少しでもリスクを考えると二の足を踏んでしまう。これでは、計画的偶発性も起こせません。仮に、「失敗する可能性が高い」「思ったような結果が残せないかもしれない」と思っても、冒険心を持って挑戦してみましょう。それが計画的偶発性を起こす機会を増やし、いざチャンスが訪れた際にも思い切って行動に移せるようになるポイントです。

計画的偶発性理論を再就職に生かすためのポイント

10年先はおろか1年先に何が起きるかを予測するのも難しい現在、いつ転職や再就職のチャンスが訪れても不思議ではありません。しかし、従来のキャリアプランに固執し過ぎてしまうと、チャンスをつかめないどころか、目の前のチャンスに気づけない場合もあるかもしれません。そこで、計画的偶発性を再就職に生かすためのポイントを紹介します。

・日々の生活をあらためる

日々の生活を振り返り、これまでしてこなかったことに挑戦してみましょう。何も難しいことをする必要はありません。「通勤経路を変えてみる」「普段は見ないテレビを見てみる」「疎遠になっていた人に連絡する」などで十分です。新たな発見は実はすぐ近くに転がっていると気づくきっかけにもなるでしょう。

・苦手な仕事に挑戦してみる

これまで苦手に感じていた仕事に挑戦してみるのもよいでしょう。思い切って挑戦してみると、「食わず嫌いなだけであった」「やり方を間違っていた」「ツールの進化で簡単にできるようになっていた」などの可能性もあります。冒険心と楽観性を持って挑戦してみると、新たな自分の才能が開花するかもしれません。

・自分の将来に期待をする

年齢を重ねていくと、自分の才能やできることに限界があると感じるようになってきます。その結果、将来がある程度見えてしまい、そこから新しい挑戦をしなくなってしまうのではないでしょうか。しかし、その考えこそが自分の可能性を狭めてしまっているのです。多くの場合、従来の仕事やこれまでの経験で得たものに限界を感じているだけで、新しい未知なるものには大きな可能性があるかもしれません。何歳になっても、新鮮な気持ちで新しいものに挑戦していけば自分の将来はまだまだ明るいと期待を持ちましょう。その結果、計画的偶発性が起こる機会も増え、いざというときに再就職という大きなチャンスをつかめるようになります。

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先の見えない不安を抱くのではなく、目の前のことに集中して新たな道の開拓を

先行き不透明な今、どうしても将来に不安を持ってしまうのは仕方ないのかもしれません。しかし、どんなに順調にキャリア形成を進めていたとしても、社会のなかで何かが変われば大きな方向転換が必要になってしまう場合もあります。ただ、だからといってわからない先のことばかりを考え、不安を抱えても意味はありません。

計画的偶発性理論を自分の仕事や再就職に生かすには、先の見えない将来に不安を抱える時間を今の自分の可能性を広げることに使うことが大切です。自らが積極的に動き、チャンスを待つのではなくつくり出していく必要があります。そして、そのチャンスを確実につかむためにも、「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」を常に意識することが計画的偶発性を起こすためのポイントだと言えるでしょう。

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