2020/12/2350代の再就職を失敗させない"コツ"とは?【早期退職へ応募する前に】
「早期退職へ応募することになり、再就職を考えている」という50代の方も多いのではないでしょうか。実際、今は新型コロナウイルスの影響で、早期退職の件数が大幅に増えています。東京商工リサーチの調査では、2020年1~10月に早期退職を募集した上場企業は72社にのぼり、2019年通年と比べすでに2倍増の件数です(※)。「いつ早期退職の対象になるか分からなくて不安」という50代の方も多く、先行きの読めない日々が続いています。
そこで今回は、万が一の再就職に備えて、50代の方が知っておくべきことを分かりやすく紹介します。早期退職に限らず、50代の方が再就職を成功させるポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※再就職で成功する人の特徴を知りたい方は、≪再就職で成功する人の特徴とは?活用すべき人材サービスも紹介!≫もご一読ください。
50代の再就職における"実情"とは?
そもそも今は、50代の方にとって「再就職しやすい」社会状況なのでしょうか。
まずは、50代の再就職にまつわるデータを参照し、実情について解説します。
(1)50代の転職入職率は低い
再就職・転職しやすさを示す数値のひとつに、「転職入職率」があります。転職入職率とは、常用労働者のなかに「転職で入職した人数」がどれくらいいるかを比率で示したものです。つまり、転職入職率が高いほど盛んに転職が行われており、低いほど転職での入職は少ないことになります。年代別に見てみると、25~29歳の転職入職率が13.4%と全年代で最も高いのに対し、50~54歳は5.3%、55~59歳は5.9%と著しく低いです(※)。こうした転職入職率の低さを見ると、50代は転職による労働移動が少なく、再就職は簡単ではないように見受けられます。
※参考:中途採用に係る現状等について(令和元年9月)|厚生労働省(PDF)
(2)50代は企業から選ばれるハードルが高い
50代の人材を採用することについて、企業側はどう考えているのでしょうか。
中途採用の方針に関する厚生労働省のアンケート調査(※)では、45歳以上55歳未満について「積極的に採用を強化したい」と答える企業は3.1%と非常に少なく、逆に「あまり採用は考えていない」と答える企業は48.9%と高い数字でした。これが55歳以上になると、「積極的に採用を強化したい」が1.0%まで下がり、「あまり採用は考えていない」が67.0%に増え、さらに厳しさを増します。「良い人材であれば採用したい」の割合が45歳以上55歳未満で39.8%、55歳以上で23.5%と一定数あるものの、50代は採用で有利とは言えない状況です。
※参考:中途採用に係る現状等について(令和元年9月)|厚生労働省(PDF)
50代の再就職が難しい理由とは?
それでは、なぜ50代の採用が企業から敬遠されがちなのでしょうか。
企業側から見た、「50代の人材を採用しない理由」について3つ紹介します。
(1)給料が年齢に見合わない
年功序列の影響もあり、多くの企業で50代の人材は給与水準のピークに達しています。そのため、「再就職先でも、できれば前職と同じ給与水準のまま働きたい」と考えている人も多いです。ただ、企業から見れば高額な報酬は大きなリスクになってしまうため、どうしても採用を決めきれない理由につながっています。「同じ業務能力であれば、人件費の低い20代~30代を採用したい」と考えて、50代の採用を見送る企業も少なくありません。
(2)既存社員との折り合いに懸念がある
50代の人材に対して、「柔軟性が足りない」という印象を抱く企業もあります。例えば、「長年の経験で培った知見がある分、自分のやり方に固執しそう」「既存社員と関係を築き、組織になじんでいくのが難しそう」といったイメージです。実際、ミドル層の人材が年下の管理職の部下になり、その際に折り合いがつかないケースも珍しくありません。こうした「新しい風土へのなじめなさ」を懸念し、企業が採用を控えることもあります。
(3)仕事へのチャレンジ精神に疑問がある
50代の人はこれまで業務で多様な挑戦をし、すでに多くの成功体験を積んできた人材です。ただ、裏を返せば「過去の経歴にとらわれている」という見方をされ、企業から「考え方が保守的・現状維持になっていないだろうか」「今後新しいことにチャレンジする意欲はあるだろうか」と不安に思われてしまうケースもあります。経験の豊富さはさることながら、柔軟に新しいことへ挑戦していこうとする前向きさ・熱意も求められるようです。
50代の人材が採用で選ばれるケースとは?
それでは、逆に50代の人材が企業から採用される理由とは何なのでしょうか。
再就職に成功しやすい50代の特徴を、大きく4つ紹介します。
(1)豊富な経験・高い専門性を持っている
既存事業の大幅な拡大フェーズで、即戦力となる「経験者」を中途採用する企業も少なくありません。特にそれが企業の主力事業であれば、未経験者より経験者を求めるケースも多いです。その際、特定業界や職種における豊富な経験や、高い専門性を持っている50代の人材は選考でも高い評価を得られるでしょう。自分のスキルが必要とされている業界を見極めて、該当する経験をうまくアピールすることで採用される可能性も高められます。
(2)マネジメント能力があり、若手の指導ができる
「前任のマネージャーや責任者が辞めてしまった」という背景から、管理職候補の募集をかける企業もあります。また、組織全体のスキル底上げを図るために、主に後輩の育成を担うポジションを採用するケースもあります。その際、注目される可能性が高いのは、マネジメント経験を持ったミドル層の人材です。そのため「チームビルディング」や「プロジェクト責任者」などの経験を持つ50代は、選考を有利に進めることができるでしょう。
(3)幅広い人脈で、事業成長を支えられる
50代の人材が採用で注目されやすいシーンとして、「新規事業の立ち上げによる経験者の募集」が挙げられます。新規事業は「千三つ(千あるうち三しか成功しない)」と言われるほど軌道に乗せるのが難しく、なかでも最初の課題となるのが「顧客ネットワーク」の手薄さです。だからこそ、「業界内に幅広い人脈・ネットワーク」を持っている50代であれば、事業にブーストをかけてくれる人物として採用でも評価を集めやすいでしょう。
(4)定着率の高さが期待できる
50代の人材が採用される理由として、「定着率の高さ」が挙げられます。というのも、若年層の離職や人手不足が問題となっているなか、人材の定着は企業にとって喫緊の課題です。その点、50代は定年まであと数年となるため、「最後の就職先」として新しい職場に臨む人も少なくありません。そのため、「勤務態度が真面目で、定年まできっちり勤め上げてくれる」という理由から、50代の人材が選ばれるケースもあります。
50代の再就職を成功させるためのコツとは?
それでは、50代の人材が再就職を成功させるためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
大きく7つの観点から、成功のポイントを紹介します。
(1)キャリアの棚卸しをする
50代は社会人経験が長いため、履歴書に記入すべき経歴に迷うケースもあるかもしれません。だからこそ、一度じっくりと経験を棚卸しして、「自分の経歴のなかで何が最もアピールできる部分なのか」を客観的に考えてみることが大切です。例えば、管理したチームの人数や営業として記録した売り上げなど、各業務における実績を「数字」で表すと、端的に伝えることができます。また、これまでのキャリアにおいて取り組んだ仕事内容を具体的に話せるようにするといいでしょう。活躍できる場面をイメージしてもらうことで、再就職の面接で好印象を与えられるかもしれません。このように、経験や実績、自分の強みを言語化しておくと、しっかりアピールできるようになるでしょう。
(2)需要の高い業界・職種を見極める
年齢が上がるにつれて、どうしても求人は少なくなる傾向にあります。ただ、人手不足となっている業界では、年齢・経験の有無にかかわらず人材を採用する会社も珍しくありません。そのため、50代から未経験の職種へ挑戦したい場合には、あえてこうした人材不足の業界を狙うのもひとつの手です。例えば、今は飲食やサービス、介護、運送、建設・土木などの業界で採用難が続いているので、再就職の成功につながる可能性も高まるでしょう。
また、50代「も」ではなく、50代「が」求められている職種や業界があります。例えば、経営者と日々接するような営業職や、高齢者が顧客となる商材の接客・サービス職などが一例です。こうした職種であれば、50代が持つ「人としての安定感や落ち着き」がそのまま武器になるため、選考もより有利に進めやすくなるでしょう。
(3)会社の規模にこだわりすぎない
「大手企業にこだわりすぎない」というのも、再就職を成功させるための重要なポイントです。エン・ジャパン株式会社が転職コンサルタントを対象に行ったアンケート調査(※)によれば、「50代以上を採用する求人」は増えていると感じる人が多く、増えていると感じる企業形態は78%が「中小企業」でした。中小企業のなかには、事業が伸び悩み、ミドル層が持つ豊富な経験を欲しがっている企業も少なくありません。そのため、応募する企業の規模を広げることも効果的です。
(4)妥協できる条件を広げる
前提として、50代からの再就職で給与・休日・働き方といった希望をすべてかなえるのは、至難の業です。給与が大幅に減ることもありますし、必ずしも正社員で採用されないこともあります。あまりに高望みしすぎると、その分再就職活動が長引く可能性も高いです。だからこそ、「絶対に譲れない条件」と「それをかなえるためなら妥協できる条件」について決めておくようにしましょう。ただ収入や勤務地などは、一緒に暮らす家族にも影響がある部分です。そのため、身近な人にも意見を聞きながら、希望条件をまとめることをおすすめします。
(5)自己PRでは謙虚さを大事にする
50代の再就職にありがちな失敗として、「自己PRが経歴自慢になってしまう」というものがあります。というのも、50代は過去の豊富な実績がある分、自分を高く評価してしまうケースも多いからです。面接での話し方にそれが如実に表われると、プライドの高さの方が印象に残ってしまいます。だからこそ、経験の豊富さは伝えつつも、「新しいことには挑戦する・今後も学んでいく」という謙虚な姿勢を示すことが大切です。
また、募集企業の状況ごとにアピールすべき強みは異なります。例えば、「新規事業の立ち上げ期」にある企業であれば、豊富な人脈やネットワークが必要とされるでしょう。また「管理職の欠員募集」であれば、マネジメント経験が求められています。こうして求人の募集背景を読み取り、自己PRを柔軟に変えることも重要です。
(6)これまでの人脈を活かす
年齢が上がるにつれて求人が減るからこそ、知人や友人から職場を紹介してもらうのも非常に有効な手段です。自分をよく知ってくれている人物であれば、適性や強みを踏まえたうえで仕事を紹介してくれるので、マッチングの精度も高まるでしょう。また、このような社員紹介での採用(リファラル採用)では、企業によっては選考が有利に進むこともあります。再就職の成功確率を高めるためにも、人脈はできる限り活用することが大切です。
(7)再就職支援サービスを活用する
早期退職に応募して再就職を目指す場合、「再就職支援サービス」を活用できることがあります。
再就職支援とは、早期退職・定年退職に伴って再就職を目指す人が利用できるサービスで、専門のキャリアコンサルタントによる求人紹介、履歴書添削、面接対策などの手厚いサポートが特徴です。再就職支援サービスでは、適性に合う豊富な求人を紹介・開拓してもらえるだけでなく、キャリアコンサルタントによる精神的なケアやサポートも受けられます。特に再就職支援は、早期退職の対象となることが多い「ミドル層」の支援に強みを持ちます。だからこそ、50代でも年齢に不安を感じることなく再就職活動を進められるでしょう。
再就職支援サービスは無料で利用できるため、ぜひ活用の検討をおすすめします。再就職支援を活用する場合は、出身企業が再就職支援会社と契約していることが前提条件になるため、事前に確認しておくようにしましょう。
まとめ
50代での再就職は、ほかの年代より苦労する人が多いのも事実です。だからこそ50代からの再就職を成功させるためには、いかに多くの求人を探し出し、募集企業と接点を持てるかが大切になってきます。そのため、再就職支援のような人材サービスの積極的な活用をおすすめします。なかでも「50代」や「ミドル層」に強い人材サービスを選ぶことで、より多くの求人と出会い、スピーディーかつ確実に再就職を決めることができるでしょう。