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2020/12/23再就職で「選ばれる」中高年の特徴とは?【次のキャリアに悩む方へ】

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「再就職先がなかなか決まらない」と悩んでいる中高年の方も多いのではないでしょうか。事実、年齢が上がるにつれて求人数は少なくなる傾向にあり、再就職の難易度は増していきます。ですが、中高年の人材が企業から選ばれる「理由」や「タイミング」を理解すれば、再就職の成功率をより高めることも可能です。そこで今回は、「中高年の方が再就職を成功させるためのポイント」について、現在の社会状況も踏まえながら紹介します。

※再就職で成功する人の特徴を知りたい方は、≪再就職で成功する人の特徴とは?活用すべき人材サービスも紹介!≫もご一読ください。

中高年の再就職にまつわる現状とは?

中高年の人材にとって、本当に再就職は厳しいものなのでしょうか。
まずは、中高年の再就職にまつわるデータを参照し、実情について紹介します。

(1)有効求人倍率

再就職のしやすさを示す尺度のひとつとして、「有効求人倍率」があります。有効求人倍率とは、求職者1人につき何件の求人があるかを示す数値で、仮に「2.0倍」であれば1人につき2件の求人があるという意味です。有効求人倍率が大きいほど、求職者が選べる求人も多いことになるため、再就職しやすいということになります。

厚生労働省が取りまとめる「職業安定業務月報」(※)によれば、令和2年3月時点での有効求人倍率は全国・全年代平均で「1.3倍」でした。年齢別に見ると、20~24歳が「1.92倍」と最も高い数値であるのに対して、45~49歳は「1.01倍」、50~55歳は「1.11倍」とかなり低い数値となっています。こうしたデータを見ると、若年層に比べて中高年は求人の数が少なく、再就職においても有利とは言えない状況が読み取れるでしょう。

※参考:職業安定業務月報 令和2年3月分|厚生労働省

(2)新型コロナウイルスの流行による雇用の変化

新型コロナウイルスの流行によって、再就職の市場も大きく変化しています。厚生労働省の調査(※1)によれば、令和2年8月時点での有効求人倍率は1.04倍にまで減少。さらに総務省の「労働力調査」(※2)によると、完全失業者は令和2年10月時点で全国に215万人もおり、特に「45~55歳」「55~64歳」は男女とも前年同月と比べて人数が増加しました。新型コロナウイルスの流行により、市場環境が大きく変化したことがうかがえます。

※参考1:一般職業紹介状況(令和2年8月分)について|厚生労働省
※参考2:労働力調査 (基本集計) 2020年(令和2年)10月分|総務省(PDF)

中高年が企業に採用される理由とは?

中高年の人材が企業から選ばれるためには、企業が中高年の人材に「どんな能力・スキルを求めているのか」を把握しておくことが必要です。そこで今回は、企業が中高年の採用を決める際の「理由」を4つ紹介します。

(1)豊富な経験があるから

企業が中高年を採用する理由として最も多いのが、「豊富な経験があるから」です。というのも、中高年の人材は若年層と比べて社会人経験が長く、その分だけ幅広い職種・業界で経験を積んでいます。「経験で培った知見やノウハウを活かして、組織・事業を立て直してほしい」という企業の期待から採用されるケースも多いです。

(2)高い専門性があるから

「経験の豊富さ」と双璧を成す評価ポイントとして、「専門性の高さ」が挙げられます。なぜなら特定の業界・職種で経歴を重ねてきた中高年は、それだけ専門スキルも高いからです。そのため「組織のスキルを底上げしてくれる教育役・管理職のポジションが欲しい」という理由で、企業が中高年を採用することもあります。

(3)若年層と比べて、さまざまな環境に適応できるから

中高年の人材は多くの失敗・成功体験を積んできたからこそ、企業から「どんな環境にでも適応してもらえそう」と評価されることがあります。また、中高年層は社会人経験が長い分、業務に対するストレス耐性が備わっているのも特徴です。そのため「真面目に勤務に取り組んでもらえそう」と企業から評価されることもあります。

(4)年齢に違和感のないポジションだから

なかには中高年の人材が、年齢を"強み"にできる職種もあります。例えば、高齢者向けの商材を扱ったり、経営者と日々接したりする仕事は「人としての落ち着き・安定感」が求められるため、中高年の人材が重宝されやすいのです。また、管理職や責任者の募集では、マネジメント経験のある中高年の人材が選ばれることもあります。

中高年が再就職で意識すべき考え方・スキルとは?

再就職に当たっては、まず自分の経歴を振り返ること、いわゆる「キャリアの棚卸し」をすることが大切です。そこで今回は、中高年の人材がキャリアの棚卸しをする際、意識するとよい考え方・スキルについて紹介します。

(1)キャリアアンカー

中高年の再就職においては、求人の数も限られています。そのため、給与や休日、仕事内容などの希望をすべてかなえるのは難しいかもしれません。どこかを優先すれば、どこかで妥協しなければいけない部分も出てきます。だからこそ、「仕事選びにおいてこれだけは絶対に譲れない」という条件を明確にしておくことが大切です。

譲れない条件に関して、「キャリアアンカー」という言葉があります。キャリアアンカーとは、キャリア選択において揺らぐことのない自分の中の価値観や動機を指す概念です。アメリカの心理学者エドガー・シャイン氏によれば、キャリアアンカーは8種類に分けることができ、「専門性を極めることに幸せを感じるタイプ」や「社会的・経済的な地位の安全を求めるタイプ」、「社会的に貢献性の高い仕事をしたいタイプ」などがあります。

このように仕事選びの"軸"が定まれば、おのずと応募する企業も決めやすくなるものです。ぜひ一度じっくり自分のキャリアアンカーについて考え、キャリア選択の条件を整理しておくことをおすすめします。自分のキャリアアンカーが明確になっていない場合は、人材サービス会社が提供しているセミナーなどを通じて客観的に考えたり、ワークショップで他の参加者の考え方を聞くことで整理することもできます。

(2)ポータブルスキル

中高年の採用においては「専門性」が注目されがちですが、実はもうひとつ見逃せないのが「ポータブルスキル」です。ポータブルスキルは「持ち運び可能な能力」と訳され、どんな業界・職種でも活かせるスキルを指します。実際、人材サービス産業協議会の調査(※)によれば、中高年の人材を採用する際「もっと評価しておけば良かったと思う項目」として「専門性以外の職務遂行能力(ポータブルスキル)」を挙げる企業が非常に多いのです。

ポータブルスキルの例を挙げれば、納期を厳守しながら業務を確実に遂行できる「課題遂行能力」、社外の関係者とスムーズに合意形成できる「社外対応能力」、部下の適性に応じて業務を割り振れる「マネジメント能力」などがあります。ほかにも、「スケジュール管理能力」や「論理的思考力」などがあり、実際に自分に当てはまるものを書き出してみると、自分がいかに多くのポータブルスキルを身につけているかが分かるはずです。

こうしてポータブルスキルを言語化しておくことで、履歴書や面接でも強みをアピールしやすくなるでしょう。

※参考:"ポータブルスキル"活用研修|一般社団法人 人材サービス産業協議会(PDF)

(3)適応能力

中高年の人材は豊富な経験を積んでいる分、「どんな環境にでも順応できそう」と評価されることがある一方、逆に「プライドが高く自分の価値観に固執しそう」という印象を持たれるケースもあります。企業から見れば、せっかく採用した中高年の人材が同僚や上司と折り合いがつかなければ、組織に良くない影響が生じるでしょう。

そのため、環境変化に柔軟に対応できる能力(適応能力)を、企業へアピールすることも非常に重要です。例えば、「新しいことに挑戦してスキルを身につけてきた経験」「年の離れた上司や部下と円滑にコミュニケーションを取ってきた経験」などを書き出してみましょう。こうした協調性・謙虚さは、選考でも大きな武器になります。

中高年が再就職で「選ばれる」ために心がけるべきことは?

それでは、中高年の人材が再就職で企業から選ばれるようになるには、何に気をつければよいでしょうか。
再就職を成功させるためのポイントについて、5つの観点から紹介します。

(1)広くアンテナを張っておく

前提として、中高年を対象にした求人の数は限られています。だからこそ自分から積極的に動き、再就職に役立つ情報をできるだけ多く得ることが大事です。例えば、SNSで情報収集をしたり、知り合いに連絡を取ったりするのも効果的です。特に中高年の人材は、友人や知人からの紹介で再就職が決まるケースも少なくありません。「使えるネットワークやサービスはすべて活用する」という積極的な姿勢で、再就職活動に臨むことが大切です。

(2)需要のある仕事を知る

「若手人材」を欲しがっている企業や業界にばかり応募しても、なかなか勝算が持てないこともあります。そこでおすすめなのが、「中高年層」に適性の高い仕事に応募することです。以下に、可能な限り例を挙げてみます。

  • 官公庁や大学などでの事務関連職(庶務や就職指導員など)
  • 新規プロジェクトマネジメント(失敗や成功経験を生かしプロジェクトを円滑に推進する)
  • 人脈を生かした営業職(長年培った業界知識や人脈、営業手法を異業種で活用する)
  • 経理や財務などバックオフィス系の責任者(主にスタッフの管理や数字のダブルチェックなどを担う)
  • 建築や土木の施工管理(スケジュール管理や進捗の確認、現場の安全・品質のチェックなどを行う)
  • 飲食や小売店のスーパーバイザー(各店舗を巡回して、経営・接客の改善に向けたアドバイスをする)

こうした職種は、中高年の人材が持つ「人としての安定感・落ち着き」「思慮深さ」「包容力」などが発揮しやすい仕事です。選考でも年齢が弱みにならない可能性が高いので、ぜひ求人選びの際に意識してみてください。

(3)多様な働き方を受容する

中高年の再就職では、求人数が限られていることもあり、必ずしも希望がかなうわけではありません。例えば、正社員ではなく契約社員として採用されることもありますし、前職より大きく給与水準が下がる可能性もあります。だからこそ、「絶対に譲れない条件を決めておく」「そのために折れなければいけない部分は妥協する」という姿勢を持つことが重要です。新しいキャリアでは、多様な働き方をできるだけ受容する柔軟性を持ちましょう。

(4)自己PRに慣れておく

中高年の再就職にありがちなのが、経験の豊富さをアピールしようとしすぎるあまり、面接で経歴自慢になってしまうことです。企業から見れば、プライドの高さの方が強く印象に残ってしまいます。そのため、面接で意識しておきたいのは、「自己評価を高くしすぎないこと」と「新しい職場になじもうとする、謙虚さや素直さも伝えること」です。中高年の人材のなかには、前職の在籍期間が長すぎて採用面接の受け方に不慣れな人もいます。自己PRに慣れない場合は、人材サービスの面談も活用しつつ練習を重ねるようにしましょう。

(5)人材サービスを積極活用する

中高年の再就職で大切なのは、できるだけ多くの求人・応募企業と接点を持つことです。そのために、使える人材サービスはぜひ積極的に活用しましょう。例えば、中高年層向けの求人が載っている「転職サイト」や、専任のキャリアコンサルタントに求人紹介をしてもらえる「人材紹介」、登録しておけば企業からオファーが届く「ダイレクトリクルーティング」など、民間のサービスだけでも豊富にあります。また、ハローワークやシルバー人材センターをはじめ、自治体や国が運営している人材サービスもあるので、ぜひ利用してみましょう。

ちなみに早期退職・定年退職に伴って再就職を目指す場合、「再就職支援サービス」があります。再就職支援サービスでは、専門のキャリアコンサルタントが求人紹介や履歴書添削、面接対策、精神的なケアなど、伴走しながら手厚いサポートを受けられます。再就職支援サービスは、早期退職・定年退職の対象となることが多い「中高年層」の支援に強いため、希望通りの再就職を実現できる可能性が高まります。

再就職サービスを利用するには、出身企業が再就職支援会社と契約していることが条件になります。そのため、退職の前に企業へ確認しておくようにしてください。

まとめ

中高年における再就職は、ひとりで進めるとなかなか希望に合う仕事が見つからず、長期戦になるケースも多いです。そのため、中高年の就職に強い人材サービスを活用することも有効でしょう。中高年に特化した求人を開拓してもらえるほか、キャリアコンサルタントに伴走してもらうことができるので、有利に再就職活動を進めることができます。キャリアアンカーの他にもキャリアについて学び、キャリア選択の条件を整理するセミナーも多数ご提供していますので是非ご活用ください。再就職に向けて動き出す際には、ぜひ人材サービスの活用・登録を検討してはいかがでしょうか。

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