2026/07/1760代の再就職活動(後編) ~チャンスのつくり方
60代は、どのように再就職活動をしていけばよいのか、具体的な事例でご紹介しています。
前編では、「こだわりの再定義」によって道を切り開いた事例をご紹介しました。
https://mpg.rightmanagement.jp/careercafe/column/column_9.html
後編ではもう一歩進んで、「どのように就業機会を手に入れるか」に焦点を当て、さらに事例を2つ見ていきたいと思います。
共通して言えるポイントは「待つのではなく、自ら機会を作る」という点です。
事例③:とにかく自分を売り込む!―直接応募を繰り返して出会った理想の企業―
60歳 男性 自動車メーカーや商社等2社に勤務
自動車メーカーでは海外営業部に所属し、商社でも海外との取引等を行っていた方の事例です。
退職が決まった直後から複数の転職エージェントを利用し精力的に活動をしていましたが、紹介される求人はどんどん少なくなり、求人サイトから応募しても反応はほとんど得られませんでした。
この方は諦めず、ここから奮起し、「60代は普通のやりかたでは相手にされなくて当たり前。自分から仕掛ける」というポリシーで、エージェントを活用せずにご自身で直接応募を始めました。担当コンサルタントも手伝って海外との取引をしている企業をリストアップし、採用ページがあればそこから、無い場合は直接メールを送り、自分の売り込みをしたのです。
ほとんどの企業からは良い反応を得られませんでしたが、熱意が伝わった企業もいくつかあり、数社から面接の依頼が届きました。面接でも通り一遍の自己紹介では印象に残らないと考え、写真を盛り込んだ自作のスライドを作成、それを持ち込んで自己紹介をしたそうです。工夫を凝らしたアピールが実り、うち一社で正社員として見事内定を得ました。
時間も手間もかかる方法ではありますが、自分で見つけた興味ある企業に自分を売り込むので、志望動機が組み立てやすくアピールも伝わりやすかったのが勝因だと思います。なにより、めげずにチャレンジし続けたことが結果につながりました。
【事例のポイント】
・あきらめずにとにかく自分の力で応募を続けたこと
・紹介された企業ではなく、自分で行きたい、と見つけた企業へのアプローチなので志望動機が明確であったこと
・60代の壁を理解し、どうすれば自身をアピールできるのか工夫を凝らしたこと
事例④:大切にしてきた人との繋がり ―人脈がもたらした再就職―
60歳 女性 電機メーカー等3社に勤務
最後は、マーケティング一筋で、キャリアの後半は管理職でいらっしゃった方の事例です。
今までと同じようなメーカー系企業への応募を繰り返しましたが、全く書類審査が通らず、60歳ではやはり無理なのかと落ち込んでいらっしゃいました。一方で、ご自身が積み上げてきたマーケティングのキャリアには絶対の自信があり、どうしてもキャリアチェンジには踏み切れない状況でした。
そこで、担当コンサルタントからこれまで培った人脈をあたってみることを提案され、今まで仕事で関わってきた方と連絡を取り始めたのです。昔の同期や上司はもちろんのこと、取引先で親しかった方や管理職時代の部下にも躊躇なく連絡をし、自分の状況とやりたいことを率直に伝えました。
そうしたところ何人かから連絡があり、複数の面接が設定されたのです。いわゆるリファラル採用のルートですが、リファラルとはいえ確実に採用されるわけではありません。しっかりと自分のやってきたこと、これからやりたいことをアピールし、その中の一社で契約社員としてマーケティングに携わることが決まりました。のちに伺ったところ、その企業は元部下の方からの紹介で、社内で強く推薦してくれたそうです。今まで大切に築いてきた人間関係がもたらした内定と言えるでしょう。
【事例のポイント】
・日ごろから良い人間関係を構築し、信頼関係ができていたこと
・自分の現状ややりたいことを周囲に伝え、頼るという行動を起こせたこと
■まとめ(後編)
今回の2つの事例に共通するのは、「チャンスは待つものではなく、つくるもの」という姿勢です。
- 自ら企業にアプローチする(③)
- 人とのつながりを活用する(④)
いずれも、「受け身ではない行動」が結果につながっています。
前編と合わせてご紹介した4つの事例から見える60代の再就職において重要なのは、「これまでのキャリア」そのものだけではなく、それをどのように捉え直し、どう活かしていくかという姿勢と言えるのではないしょうか。こだわりを緩めて柔軟に視野を広げること、自ら動いて機会をつくりにいくこと、そして人とのつながりや日々の積み重ねを大切にすること――。その一つひとつが、新たな働き方への扉を開く力になります。
人生100年時代において、60代は決して「終わり」ではなく、「新たなスタート」です。自分らしい働き方を見つけるために、ぜひ一歩踏み出してみてください。