2023/08/21退職の決断をするために考えておきたいこと ~事前キャリア相談でよくあるご質問から ~
退職の選択をする時、皆さんは何を決め手に決断しているのでしょうか。
ご退職を検討されている方の相談(事前キャリア相談)でよくある質問として「どのような求人がありますか?」「私は就職できますか?」「資格は必要ですか?」など、様々な質問をいただきます。求人案件や資格を気にされる方がとても多いように感じます。ただ求人がたくさんあれば転職できるのでしょうか、何でもいいから資格があれば働けるのでしょうか。
答えは「NO」です。
では、退職を決断し新たなキャリアにチャレンジするかどうか、自分のキャリア選択をよい良い選択にしていくためには、どのようなことを整理し、決断していくのがよいのでしょう。
まずは求人⁈
「求人はありますか?」という質問は、本当に多くいただきます。確かに今募集している求人案件がどれくらいあり、どのようなものがあるかは、市場を理解するための参考となるでしょう。ですが、とにかく数があればいいのではありません。今ある求人案件は、あくまでも市場の全体像を理解する情報です。
自分がこれから何をしていきたいのか、中長期視点で実現したいことは何か、これまでの経験が活かせる可能性がある職種は何か、希望する職種がほとんどないのであれば、新たなキャリアの方向性を考え直す必要があるかもしれません。私はどうしたいのか?どうするのがよいか?まずはそこから整理していくことが重要です。
キャリアの可能性の模索
「これまで営業一筋で成果をあげてきました。営業経験しかないのですが、他の仕事はできますか」というような、キャリアの方向性や可能性を問われることがあります。残念ながらこれは、簡単に答えが出るものではありません。これまで培ってきた経験は貴重な財産です。ですが、経験があると言っても、その企業特有の評価軸や求められるスキルも違うため、他の企業や職場で必ず通用するというものではありません。社内評価=市場価値ではないのです。
そこでお勧めするのはキャリアの棚卸です。キャリアの棚卸を行い、ポータブルスキル・専門スキルの整理をします。細かく掘り下げていくと、これまで意識していなかった、個々でお持ちのポータブルスキルも見えてくることがあるでしょう。
そして次にお勧めしたいことは、整理して出てきたそれぞれのスキルをフリーワードにいれて具体的な求人案件をリサーチしてみることです。これにより、Will(やりたいことや価値観)に対してCan(スキルや経験)Must(市場ニーズ)がマッチするのか、客観的にご自身のキャリアの可能性を考えることができるのではないでしょうか。
動画:「キャリアの棚卸」
https://mpg.rightmanagement.jp/op/service/movie03.html
動画:「キャリアの基本的な考え方」
https://mpg.rightmanagement.jp/op/service/movie01.html
お金と家族
もうひとつ考えなければならないのがお金のことです。私はどうしたいのか?と一見矛盾するようですが、意外と見落としがちなのがきちんとしたファイナンシャルプランです。ご相談時には「給与は〇〇円欲しい」という話になりますが、実はその根拠が明確ではないという方も多いのです。もちろん、たくさん貰える分にはありがたいかもしれませんが、現実的に本当に必要な金額はいくらか、を明確に把握しておくことはとても大切です。家族で具体的な収支や今後のライフイベントを元に話し合う、またはファイナンシャルプランナーに相談するのもよいでしょう。
また転職を検討する時には、これを機にキャリアチェンジをしたいというお声もよく聞きます。ならば、なおさらです。やりたい仕事を目指したけれど、この年収では生活が難しいかもしれない、その時どちらを優先するのか、その選択を迫られることも往々にしてあるからです。
お金と合わせて、家族の同意や理解も重要。決断の前に、しっかり認識を合わせておくことで、「こんなはずじゃなかった」と後悔することを減らすことができると思います。
資格の必要性
「私は何も資格がないんです」「資格を取るか迷っています」というご質問も非常に多くいただきます。リスキリングや弊社が提唱するラーナビリティなど、継続的な学びなどが話題となる中、資格を検討することはよいことです。「どんな資格があるといいですか」とも聞かれますが、資格を取れば絶対に有利になるわけではありません。もちろん、すべての資格が無意味ということはなく、ミドルシニアの方々がこれまで積み上げてきたキャリア、経験、知識という武器に、さらなる付加価値をつけられるような資格はあるといいでしょう。
資格を検討する時に大事にしたいのは「なぜその資格を取るか」です。前述のように、資格は「絶対」という保証になるものではなく、可能性を広げるために有効となるものです。しっかりと目的意識をもち、それが面接でも語れるようであれば、資格という名前だけなく前向きな姿勢やチャレンジ精神自体が武器となり評価されるかもしれません。
決断の前に、自分にとっての最適スケジュールを立てましょう
ここまで弊社の事前キャリア相談でよく聞かれる質問を例に、退職検討の際に整理しておきたいことをお伝えしました。市場の理解、自分の経験とスキルの整理、お金と家族、資格など、しっかりと整理すべきことがみえてきたら、自分にとって退職に向けて最適な進め方、スケジュールをイメージしてみましょう。ここまで来たら、あとはメリットデメリットを客観視したうえで、自己決断をすることができるのではないでしょうか。
人生は選択の連続です。自己の整理や客観視をしたい時には、第三者への相談も役立ちます。私たちキャリアカウンセラーは退職前~次のキャリアの選択までご相談にのっています。できる限り自分でしっかり整理し、意思を持って選択し、前向きに次の一歩を進めていきましょう。