2022/12/12認知バイアスに気づけばキャリアが変わる?偏った考え方を捨てる"4つ"のポイント
「自分に合う求人は、○○職以外にない気がする」
「○○業界の仕事は、年齢的に厳しいに違いない」
――こうした無意識の思い込みから、キャリアの選択肢を不必要に絞ってしまう方も少なくありません。これらは「認知バイアス」や「選択的注意」とも呼ばれ、大事な局面で不合理な決断をしてしまう原因にもなります。再就職活動では上記のような"思考の偏り"から脱却することで、広い視野で仕事を選べるようになるのです。
そこで今回は、「認知バイアス」「選択的注意」「不注意盲」といった"思い込み"の種類や、偏った思考からの脱却方法について分かりやすく解説します。ぜひより良いキャリアをかなえるために、参考にしてみてください。
このような"思い込み"、無意識にしていませんか?
転職や再就職において、次のような思い込みをしてしまった経験はありませんか。
「シニア向けの仕事って、介護、警備、清掃くらいですよね」
「自分の強みは、事務処理系のスキルくらいしかありません」
こうした思い込みは、往々にして個人の主観や経験則に基づいており、必ずしも正しいとは言えません。場合によっては、再就職の選択肢が狭まってしまい、本来得られたはずの可能性を手離してしまうことさえあります。だからこそ、何かについて判断する際には、一度立ち止まって考え方を変えてみることが重要なのです。まずは「思考のクセ」や「発想の偏り」に気づくことが、キャリアのチャンスを逃がさないための第一歩と言えるでしょう。
人の判断を惑わせる「偏った思考」の正体とは?
無意識の思い込みには、具体的にどのような種類があるのでしょうか。
ここでは、「認知バイアス」「選択的注意」「不注意盲」という3つの心理的な現象について解説します。
(1)認知バイアス
認知バイアスとは、過去の経験や一般論に左右され、不合理な判断をしてしまうことです。人間は日々膨大な量の情報に触れるため、効率良く対処しなければ判断が追いつきません。そのため、脳がスピーディーに処理できるよう、情報に対して経験則や常識というフィルターをかけてしまうのです。認知バイアスには、「情報処理の速度が上がる」というプラスの側面もありますが、ときに不合理な判断につながってしまうことも珍しくありません。
認知バイアスには、具体的に以下のような種類があります。
◆確証バイアス:自分に都合の良い情報だけを、無意識に集めてしまうこと
(例:「この企業に再就職したい」と思ったら、その企業の良い話題だけを収集してしまう)
◆正常性バイアス:危機的な状況が迫った際、「自分だけはまだ大丈夫」と思い込んでしまうこと
(例:他人から「今後この業界は市場が縮小する」と助言されても、自分には影響がないと思い込んでしまう)
◆生存バイアス:「成功者の体験をまねれば、自分も必ず成功できる」と思い込んでしまうこと
(例:尊敬する人物が資格をたくさん持っていると、「自分も資格を取れば大成できる」と決めつけてしまう)
◆アンカリング:最初に提示された情報に、以降の判断が引きずられてしまうこと
(例:最初に目に入った求人の給与が低いと、以降の求人の給与が根拠もなく高く見えてしまう)
◆計画錯誤:計画を立てるときに、できるだけ楽観的な予測をしようとしてしまうこと
(例:「1~2カ月あれば再就職先も決まるだろう」と考えた結果、予想どおりにいかず焦ってしまう)
◆ハロー効果:見た目や肩書きだけに引きずられ、人や企業を評価してしまうこと
(例:業績の好調さやTV-CMの放映回数だけを見て、「この企業に入社すれば安泰だ」と早合点してしまう)
(2)選択的注意
選択的注意とは、自分の関心が高い情報だけを、無意識に見聞きする現象です。例えば、雑踏のなかでも自分の名前だけは聞き取れたり、読書中に自分の共感できる文章だけをかいつまんで読んだりするケースが挙げられます。逆に言えば、自分の関心が引かれない情報を無意識に排除してしまうことになるため、注意が必要です。再就職では、「志望業界の良い側面だけを見てしまう」「自己分析で自身の弱みに気づかない」といった事態も起こり得ます。
(3)不注意盲(非注意性盲目)
不注意盲(非注意性盲目)とは、自分の注視していなかった情報を見落としてしまう現象のことです。例えば、ハンズフリーで会話しながら車を運転していると、たとえ視線は前を向いていても事故の兆候を見逃してしまうことがあります。これも、不注意盲が原因です。再就職の場合には、「聞いたことのない社名の求人を無視してしまう」「今まで自分と関わりがなかった職種は選択肢から排除してしまう」などの事態に陥りかねません。
偏った思考から脱却するための"4つ"の方法とは?
「認知バイアス」や「選択的注意」、「不注意盲」といった偏った思考から脱却するためには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、再就職活動において、無意識の思い込みを排除するための主な方法について解説します。
(1)思考の偏りを自覚する
認知バイアスや選択的注意、不注意盲は、無意識のうちに陥ってしまっていることがほとんどです。そのため、まずは自分が偏った思考をしていないかを自問するところからスタートしましょう。例えば、自己分析や求人選びの際には、「一般論だけで判断してしまっていないか」「経験則に頼りすぎていないか」などを一度自分に問いかけます。思考の偏りを自覚することで、冷静に判断を軌道修正し、別の選択肢にも目を向けられるようになるでしょう。
(2)あえて判断を「保留」する
一時的な感情や思いつきだけで早々に決断してしまうと、あとから別の可能性に気づき、後悔してしまうケースも少なくありません。そのため、思考の偏りを回避するためには、あえて判断を保留することもひとつの方法です。例えば、「人から意見をもらったら、じっくり考える時間をとる」「応募したい求人はメモしておき、条件や仕事内容を冷静に見比べる」などを心がけましょう。冷静に考える余裕を持つことで、合理的な判断につながります。
(3)反対意見を探すようにする
思考の偏りを回避するには、クリティカルシンキング(批評的な思考)を心がけることも重要です。具体的には、「反対意見はないだろうか」「視点が変わっても判断は変わらないか」と自問自答し、判断の正しさを確認するようにします。特に再就職においては、志望業界の安定性や企業の成長性について、イメージで判断せずデータやファクトを探すことも大切です。あえて自分の意見とは異なる情報を探すことで、納得感のある判断ができます。
(4)第三者に意見を聞く
認知バイアスや選択的注意、不注意盲に陥ってしまうのは、自分の「主観」だけで判断してしまっているときです。そのため、積極的に第三者に意見を求めることも重要でしょう。再就職においては、転職エージェントや再就職支援会社などを活用することで、キャリアの専門家であるキャリアコンサルタントに相談に乗ってもらえます。自己分析やキャリア設計の際に客観的なアドバイスをもらうことで、より合理的な選択ができるでしょう。
キャリアの判断に迷ったときは、専門家に相談を
認知バイアスや選択的注意、不注意盲から脱却するためには、第三者の意見に耳を傾け、客観的な視点を持つことが大切です。特に「早期退職優遇制度へ応募するかどうか」「進路の方向性をどうするか(どのような進路の選択肢を考えるか)」などは、今後のキャリアを考える重要な転機でもあるので、冷静な判断が欠かせません。
だからこそ、ぜひ一度キャリアコンサルタントのような専門家に相談し、意見を聞いてみることをおすすめします。キャリア相談を通じてじっくりアドバイスをもらうことで、今後のキャリアにおける選択肢に気づくことができ、より良いキャリアのきっかけをつかみやすくなるでしょう。
私たちライトマネジメントは、早期退職優遇制度への応募をお考えの方々や再就職活動に臨む皆様へのキャリア相談を実施し、より良い意思決定をサポートしています。求人の選び方やキャリアプランの設計方法をはじめ、どのようなことでも親身に相談に乗りますので、ぜひお気軽にお声がけください。