2022/10/17再就職で迷ったときの処方箋「ディンクレッジの意思決定」とは?(前編)
再就職に向け、活動の準備をしている方も多いのではないでしょうか。しかし、キャリアを重ねてからの再就職は、心理的なハードルが上がるのも事実です。なかには「自分に適した仕事が分からない」「どのように就職活動を進めればいいか迷っている」という状況に陥り、最初の一歩を踏み出せずにいる方もいるかもしれません。
そんな方の心強い指針になってくれる、ひとつのキャリア理論があります。それが「ディンクレッジの意思決定」です。
前編ではディンクレッジの意思決定についてひもとき、後編では再就職活動の中でスムーズに意思決定するためのポイントを紹介します。セカンドキャリアの充実に向けて有意義な選択ができるよう、本稿が一助となれば幸いです。
再就職で迷ったときの処方箋「ディンクレッジの意思決定」とは?(後編)
ディンクレッジの意思決定とは?
ディンクレッジの意思決定とは、アメリカの女性心理学者ディンクレッジ(Dinklage)によって発表された、意思決定に関する論文のことです。当理論では、人の意思決定プロセスは「8つのスタイル」に分かれており、計画的に意思決定するには「7つの段階」を踏むことが重要と説かれています。ディンクレッジの意思決定理論は、就職活動をはじめ新しいキャリアを決めるうえで、非常に役立つ理論の一つです。
人の意思決定は、「8つのスタイル」に分けられる
ディンクレッジのいう意思決定の「8つのスタイル」とは、具体的にどのような内容なのでしょうか。ここでは、8つのスタイルそれぞれの特徴と問題点、再就職でスムーズに意思決定するためのヒントについて解説します。
ぜひ「自分は8つのうちどのスタイルに当てはまるだろう」と想像しながら、お読みください。
(1)延期型
「延期型」とは、意思決定の必要性は感じつつも、やる気をうまく出し切れずに行動を起こせないタイプです。再就職において、延期型の人は「求人を探す気にならないのでそのうち探そう」と考え、結果的に長期間のブランクが空いてしまうことがあります。延期型のスタイルに当てはまる方は、「意思決定するメリット」や「意思決定を先延ばしにするリスク」などを一度冷静に考えてみると、前向きに行動する意欲が湧いてくるでしょう。
(2)無力型
「無力型」とは、意思決定の必要性は感じている一方で、将来に対する不安や自分への無力感から行動できないタイプです。再就職の場面において、無力型の人は「自分に向いている仕事はないのではないか」「時代の変化に対応できる気がしない」と不安になり、仕事を選べなくなることがあります。無力型に当てはまる方は、周囲に積極的に相談して、自分の強みや向いている仕事を客観的に教えてもらうと、自信を持ちやすくなるでしょう。
(3)運命論型
「運命論型」とは、周囲の物事は自分ではコントロールできないと思っており、最終的に運命に身を委ねてしまうタイプです。再就職において運命論型の人は、「いつか待っていれば自分に合う仕事が見つかるはず」と考え、仕事選びに本気になれないことも少なくありません。運命論型に当てはまる方は、自分の意志でキャリアを切り開いた人のインタビューや体験談を読んだり聞いたりすると、気持ちが前向きに変化しやすくなるでしょう。
(4)苦悩型
「苦悩型」とは、選択肢を絞りきれずに悩み、なかなか意思決定できないタイプです。再就職において苦悩型の人は、「もっとほかに自分に向いている仕事があるのではないか」「もっとキャリアを入念に考えないと後悔するのではないか」と悩み、再就職先を決めきれないこともあります。苦悩型に当てはまる方は、周囲に相談しながら「不安の根本的な原因」を見極め、まずその解決から取り組むことが大切でしょう。
(5)直感型
「直感型」とは、自分の直感のみに基づいて意思決定するタイプです。再就職において直感型の人は、「経験上この仕事を選ぶべき」「自分の年齢でできる仕事はこれしかない」と考え、決断を早まってしまうこともあります。直感型に当てはまる方は、一度周囲の意見に耳を傾け、客観的なアドバイスを求めることも大切です。自分とは違った価値観・経験を持つ人たちの意見も参考にすると、より後悔のない選択ができるようになるでしょう。
(6)衝動型
「衝動型」とは、選択肢を複数用意せずに、最初に見つけた道を衝動的に選んでしまうタイプです。再就職において衝動型の人は、良い仕事を1件見つけたら、ほかの求人をまったく検討しなくなるケースもあります。衝動型に当てはまる方は、いきなり決断するのではなく、できるだけさまざまな情報を収集するよう心がけてみることが大切です。そのうえで自分に合った仕事を選択していくと、納得感のある決断ができるようになるでしょう。
(7)従順型
「従順型」は、自分の意志で決めるよりも、他人に決めてもらいたいタイプです。再就職において従順型の人は、親や友人から紹介された仕事に就いてみたものの、入社後にモチベーションが維持できなくなってしまうケースもあります。そのため、従順型の方はまず「将来なってみたい姿」や「仕事で楽しいと感じる瞬間」を想像してみましょう。自分の希望を明らかにしたうえで求人探しに臨むと、後悔のない選択ができるようになります。
(8)計画型
「計画型」とは、以下のように"7つの段階"を踏んで、計画的に意思決定をするタイプです。
▼1.決定事項の明確化
▼2.情報収集
▼3.選択肢の明確化
▼4.根拠の評価
▼5.選択肢のなかから最終選択
▼6.行動
▼7.決定と結果の検討
(※それぞれについては後編で詳しく解説します)
再就職において計画型の人は、仕事にまつわる情報を網羅的に収集し、自身のキャリアビジョンに照らし合わせながら就職先選びができます。そのため、計画型の方は納得のいく形で次のキャリアを選びやすくなるのです。
――ここまで8つのスタイルをご紹介してきましたが、あなたはどのタイプでしたか?
再就職で迷ったときには、「計画型」の行動を取り入れてみてはいかがでしょうか。