2025/11/06納得のいく進路決定のために~「求人票」 から可能性を広げる再就職活動
ステップアップや年収アップなどを目的とした、ご自身のタイミングでの転職活動とは違い、再就職活動においては同じ業界、同じ職種といったスライドの転職をイメージされる方が多いと思います。
一方で、この機会をチャンスと捉え、視野を広げて再就職活動をすることによって、これまでの経験を活かしつつ新たな選択肢を見つける方が多いのも実情です。ご自身の納得のいく進路決定に至るまで、今回は「求人票」 をキーワードに再就職活動のポイントをお伝えしたいと思います。
求人票から見出すご自身の市場価値
再就職を考える際、多くの方がまず気にされるのが、自分は他の企業で通用するのか、これまでの経験は世の中では他社でも役に立つものなのかということです。言い換えれば、ご自身に「市場価値」があるかということ。特に40代~50代の方にとっては、年齢や経験がどのように評価されるのか、どのような職種が現実的なのかという不安がつきまといます。
「市場価値」というものは、単に年収や経験した職種だけで測れるものではありません。求人票には、職種や応募資格などが記載されていますので、経験職種や応募条件に見合えば即マッチすると思いがちですが、実際には「これまでのどのような経験が、どの業界で、自分にはなにができるのか?」 という視点で求人票を読み解くことが重要です。つまり、これまでの経験をどのように活かすことができるのかを考え、自分の価値を見出していくことで市場価値を考えることができます。
対話から見えてくる価値観とこだわり
併せて必要なのは、市場価値だけではなくご本人のこだわりやご希望です。私たちキャリアコンサルタントは、ご本人の「こだわり」や「譲れない条件」を丁寧にお伺いします。例えば「人間関係のストレスが少ない職場で働きたい」 といった希望は、一見漠然としたものに見えます。しかしなぜその希望をお持ちなのかを確認していくと、「チームで協力しながら進める仕事が向いている」 「一人で抱え込まない風通しの良い環境が必要」 といった具体的な価値観が見えてきます。その観点でも職場環境や業務内容などを多くの求人票からも読み取り、価値観やご希望からもどのような職場が合っているのかを一緒に探していきます。求人票は画一的な記載の部分もありますが、企業がどのようなことに重きを置いているのか、職務内容からどのような仕事の進め方をするのかを確認することもできます。この仕事ならできそう、という観点だけではなくご自身の価値観と合う環境はどのようなところなのかを探していきましょう。
求人票で分かる給与の相場
そして求人票で気になる点は給与面かと思います。
求人票の給与面だけを見ると、ご自身の希望とのギャップを感じることもあるかもしれません。採用企業は、採用したいと思う方のこれまでの経験に対して給与を支払うのではなく、その方がこれからの業務に対して給与を支払うのです。
確認すべきは募集職務に対して見合う給与かどうかということです。給与の欄だけを見て判断するのではなく、どのような業務で、どのような環境で何をするのかをしっかりと確認しながら求人票を読み取ることが重要です。
労働市場での給与水準を把握するためにも、求人票は活用できるツールと言えるでしょう。
求人票を通じて広がる可能性
実際に求人票を確認していくと、営業事務やカスタマーサポート、プロジェクト管理など、これまで直接的な業務としては経験していなかったような、本人が想定していなかった職種が浮かび上がってくることがあります。
一つの事例としてご紹介したいのが、長年デザイナー職を続けていた40代の方の例です。
もともとデザイン業務に従事されていましたが、同じ職種を続けることに限界を感じていました。しかし具体的にこれから何がしたいのか、については具体的なイメージを持てないまま、ある転職サイトに情報登録をしていました。サイト経由で地元のインフラ系企業から営業職のスカウトを受けたためあまり興味も持てないまま求人票を確認してみました。なぜ営業職のスカウトが来たのか、この求人票を元にキャリアコンサルタントとの対話をしたところ、人と話すのが好きなこと、これまでOEM担当として顧客とのやり取りや調整業務も経験していたことが営業職に通じる力であると気づきました。その気づきとこれまで表面に見えていなかった経験も活かせることが自信につながり、ご本人の興味とも一致したことで応募を決断。納得のキャリアチェンジを果たされました。
納得の再就職に向けて
求人票には、募集に必要な情報が記載されていますが、そこから読み取れるのは単純な条件だけではなく、企業が求める人物像でもあります。単なる情報の羅列ではなく、自分らしい働き方や可能性を見つけるヒントが詰まっています。
私たちキャリアコンサルタントは、求人票を "鏡" として活用しながら、皆さまが自分の価値観や強みに気づき、納得のいく進路選択ができるよう伴走しています。
再就職活動は、条件だけで判断するものではなく「気持ちの整理」や「価値観の再確認」が必要なプロセスです。求人票を一緒に読み解きながら、"自分らしさ"を再発見する時間を大切にご支援していきます。