2025/11/0650代からの市場価値とは~年齢ではなく「経験と人柄」で勝負する再就職活動
「もう50代だから」「大してアピールできることなんてないから」など、ご相談者からネガティブな声を耳にすることがあります。労働市場の観点で考えた場合、確かに若手採用に注力する企業も多くあります。一方で、50代以上のベテラン人材には他の世代にはない"価値"があると認識している採用担当者もいます。年齢を重ねたからこそ持てる経験や視点は、今の市場で十分に価値があり求められていると言えるでしょう。
企業が求める50代の力とは
たとえば、長年の業務経験から培った「問題解決力」や「人間関係の構築力」は、実際に働く際にはどのような職場でも重要な能力です。経験のあまりない若手がつまずくような場面でも、冷静に対応できる経験値と安心感は、企業にとって大きな戦力です。
また、50代の方はマネジメント経験を持っているケースも多く、部下育成やチーム運営のスキルは、企業の中核を担う人材として評価されます。さらに、特定分野での高い専門性のあるスキルがある方は、技術職やコンサルティング職などで即戦力として活躍することも可能です。
実際に「この人がいると現場が落ち着き、安定する」 「若手の相談役として大変頼りになる」といった声も多く聞かれます。年齢はハンデではなく、信頼と安定感の象徴になり得るのです。
経験が想定外の「採用」となった事例
ある求職者の想定外の採用になった事例を紹介します。
大手精密機械メーカー出身のAさんは、これまで経験のある領域ではなく、未経験で難しいチャレンジとは思いながらも異業種異職種に応募しました。書類選考も通過しないだろうと思っていたところ、結果としては、応募した職種ではなくまったく想定していなかった人事総務職で面接をしてみませんか?との連絡が来ました。人事総務職は募集されていないポジションでしたが、これまでの経験で人事総務関連の幅広い管理業務をしていたことが社長の目に留まり、ぜひ会って話がしたいと話が進んだそうです。ご本人は予想外のことで驚かれたたようですが、これまで長年経験した得意領域を存分活かせる仕事であり、これならば十分に役に立てると思い、面接の場ではもともと応募した新たなチャレンジをしたい気持ちと、これまでの経験を活かしたいという熱意をお伝えしたそうです。結果として、当初希望していた未経験業務も含めた新たなポジションで採用が決まりました。
応募のきっかけは違う業務ではありましたが、これまでの経験が評価されたこと、加えて真面目で熱心なお人柄とコミュニケーション力と協調性も備えていた点も採用にいたる大きな要因となりました。
採用担当者の視点
長年の経験は十分に価値があります。そしてそれ以上に大事なのは「やる気」や「熱意」をもっていること、企業にあう人柄であるかということです。以下は、採用担当者の50代の人材に対してのコメントの一例です。
- 営業を長年経験されている方は、現場の空気を読む力がある。若手にはない"落ち着き"と"説得力"があるので、顧客対応や社内調整の場面で頼りにしています。
- 年齢よりも"何をしてきたか"か、そしてそれを"どのように活かせるか"を具体的にイメージできる人材は魅力があると感じます。
- 50代の方は、若手の育成にも向いています。経験に裏打ちされたアドバイスは、現場で非常に価値があります。
面接になった場合は、経験そのものだけを語るのではなく、その経験がどのような価値があるのか、どう活かせるのかを具体的に説明し、熱意をもって伝えらえるようにしましょう。
50代は「第二のキャリア」のスタート地点
50代からの再就職では、「もう遅い」ではなく、「今だからこそできること」 があります。これから働く労働市場を理解し、自分の価値を再発見することで、次の一歩がきっと見えてきます。あなたが持つ、企業にとっての価値はどこにありそうでしょうか。直接的な仕事の経験の他にある、人間関係構築力、対応力、決断力、または安心感や信頼感など、これまでの実績や数多くの経験、出来事などを振り返って客観的に確認してみましょう。
自分の価値が分からないとき、どう表現したらよいのか迷ったら、キャリアコンサルタントに相談してください。あなたらしい次のキャリアにつながる、あなただけの価値を一緒に探していきましょう。