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2021/06/01シニアだからこそのキャリアデザイン~後編

前編では、2つの問いからキャリアデザインに重要となる動機付けについて、またキャリアは「自分ごと」として捉えるということについてお伝えしました。後編では、具体的にキャリアを考える上でのポイントをお伝えします。

前編のリンクはこちらから

キャリアを考える時に重要な「K・K・D」

キャリアの相談に来社されたご相談者の方には、よく3つのお話をします。

K:家計(経済)」について

毎月必要な家庭の経費はどれくらい掛かっているか、ご家族皆さんが把握されていますか?と尋ねます。今後のキャリアを考える上では、生活を成り立たせるための費用をきちんと理解しておく必要があります。その際は、固定費(必ずかかる費用)と変動費(月毎で大きく変動する費用)をわけて、固定費を基準に考えていくといいでしょう。ご家庭の経費を整理すると、「我が家は今後もこれだけあれば足りるのか」と具体的な今後必要となる収入をイメージできキャリアを考えるための一助となります。

K:健康について

これまで企業に属してこられた方は、毎年定期に健康診断を受けてこられたと思います。では、ご家族は直近でいつ頃人間ドックを受けましたか?離れて暮らすご両親の健康管理はどなたが確認されていますか?
ご自身を中心に大切な方々の健康管理は出来ているか、把握しましょう。
これからご自身のキャリアを考える上では、ご自身の健康だけに注意すればよいということではありません。周囲の方々の健康がご自身のキャリア形成にも影響する可能性はないでしょうか。介護や看護の必要が出てくるようであればそれを踏まえてのキャリアを考える必要があります。

D:将来の夢について

今後の将来の夢について、いくつの夢をお持ちですか?そしてそのことをご家族とお話していますか?前編でお伝えした「キャリアを自分ごととして考える」ことは重要ですが、これは独りよがりで考えましょうということではありません。ご自身のキャリアをきちんとご家族と共有し、理解と協力を得られるようにしましょう。

これまでに上げたこの3つのポイントを簡単に覚えて頂けるようにこの3つの話を名付けて『K(家計)・K(健康)・D(夢)』と呼ばせて頂いております。この3つを具体的に確認することで、キャリアを具現化していくことができます。
先日も60歳のご相談者の方にこの話をしたところ、「まだまだ自分にはやり残したことがあることを思い出しました。このK・K・Dを話したら家族も応援してくれそうです」 と今後のキャリアプランニングを具体的に考え始めました。

自己成長とラーナビリティ

これまでも多くの経験をされてこられたシニアの皆様は、過去にその仕事人生を掛けた勝負にも挑んできたものと思います。その結果、昇進や昇給、場合によってはうまくいかずに思う通りの評価を得られなかったということもあったかもしれません。ですが、振り返ってみると皆様が掴んだものや今残っているものは、結果的には自己にとっての勝利や成長です。
私共がキャリアについてお話するときは、キャリアとは「人が有償無償にかかわらず、働く経験を通じて成長すること」と定義づけています。つまり、皆様がこれまでの人生においてご経験された様々な体験や学びの中で、自分自身が成長したと感じられたことが、皆様のキャリアを形成しているのです。

そこでキャリアを考察する時には、どうすれば評価を得られるか、自身の望む条件を得られるかという観点ではなく、まずは「自己成長」をキーワードとして、今後も成長し続けるご自分をイメージすることをお勧めします。そして、その自己成長のために大切なのが「学び続ける意欲(ラーナビリティ*)」、新たなものに興味を持ってどんどんチャレンジしていく気持ちです。もちろん若かりし頃とは違い、学ぶことでそれが必ずしも自分のものに出来るかは分かりません。体力も精神力も記憶力も若い頃とは違うと感じる方も多いかもしれません。しかし年齢にかかわらず、新たなものに貪欲に挑戦するその姿勢が大切です。新しい技術や、発想、今まで無かった考え方に興味を持ち、知りたいと思う向学心が、これからもキャリアを形成するのです。だからこそ、いくつになっても変わらぬ学ぶ姿勢こそが、シニアのキャリアデザインにおける重要なポイントとなるのです。

*ラーナビリティとは|https://www.manpowergroup.jp/learnability/concept/

キャリアの定年と働き盛り

「定年」という言葉を聞くと、組織で定めた年齢、決められた一定の年齢に達した時に退職する事が思い浮かぶでしょう。しかしキャリアの定年は違います。キャリアは自分自身で考える「自分のこと」ですから、その定年はお一人おひとり違ってきます。
皆様はご自身のキャリアの定年はいつ頃で設定されますか?

働き盛りは「心身ともに成熟し、最も元気盛んに活動できる年頃」とされています。一般的に40代前後と言われていますが、私は現況を考えるとその時間軸がどんどん伸びてきているように感じています。今や50代も含めて考える時代で、更に50代後半から60代にかけては、まだまだ働き盛り、そしてその後の60代後半から70代・80代に向けて「夢を実現する世代」だと思っています。私自身もPPK(ピンピンコロリ)で死ぬまで現役と考えていますので、次の世代に向けて、沢山の「夢」を持ちワクワクしながら活躍していきたいと思います。

これまで皆さまが築いてきたキャリアと同様、何歳になっても諦めずにキャリアを自分ごと化し、学び続ける。そして、KKDの観点から、『シニアだからこそのキャリアデザイン』について、ぜひ一緒に考えていきましょう。

前編のリンクはこちら:シニアだからこそのキャリアデザイン~前編

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