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2023/12/0450代後半、自分の強みを活かした再就職の事例

再就職活動をスタートし、履歴書・職務経歴書・英文レジュメなどの応募書類作成が完了したら、仕事に求める希望条件を確認し、応募活動に入ります。すぐに書類選考が通過し、順調に面接に進むとよいのですが、希望条件が労働市場のニーズとマッチしていないと、応募してもなかなか書類選考が通過しません。面接に進むことができないと、モチベーションが下がり、悪循環が生まれ、再就職活動が長期化してしまう傾向があります。そのようにならないようにするためには、ご自身の専門スキルやご経験の強みの確認を行い、労働市場のどのあたりにニーズがあるか理解を深め、活動することが必要です。

私が担当した50代後半、IT業界出身、営業・マーケティング管理職の方の再就職事例をお伝えします。

再就職活動初期:再就職活動を開始したときの仕事の条件

初回の面談時に今後の仕事のご希望をおうかがいしました。「正社員で定年まで働きたい。現在の年収をなるべく落としたくないので管理職を希望。経験を生かせる営業・マーケティングの仕事がしたい。」とのことでした。まずは履歴書・職務経歴書を作成し、応募活動をスタート。さっそく大手転職サイト3社に登録し、50社ほど応募しましたが書類選考が通りませんでした。

転職エージェントにも登録しましたが、求人案件のご紹介が少なく、ご自身の人脈を活かしてアプローチすることもご提案しました。

再就職活動中期①管理職にこだわることをやめた

登録した転職エージェントの担当者から、50代後半だとマネージャーのポジションよりセールスの求人案件が多い、また希望年収を下げないと紹介できる求人案件はほとんどないと言われました。そこで、まずは管理職にこだわらず、いろいろな企業と面接する機会を作ることをご提案しました。あらためてご自身の強みを熟考したところ、「一営業マンとしても、高い獲得率と売り上げ目標の達成率を堅持してきた実績がある」 ことを再確認しました。職務経歴書にもこの実績と強みを追記し、応募書類の強化をしました。

再就職活動中期②正社員にこだわることをやめた

強化した応募書類の提出により、IT企業での営業の仕事で1社、企業面接へ進みました。しかし、残念ながらその先の選考には進みませんでした。面談時に「面接の振り返り」をしたところ、業務内容には非常に興味があったが、正社員にこだわった回答をしてしまったことが敗因だと自己分析され、後悔しているとのことでした。業務委託(企業と雇用関係を結ばず、対等な立場で委託された業務を行う)での可能性も問われたそうですが、後から考えれば、この仕事なら業務委託でもやってみたかったとおっしゃっていました。

改めて業務内容だけではなく働き方についても一緒に考え、業務委託は自分の強みを生かせる働き方と柔軟に考えてみてはどうかとご提案しました。この案件の結果を踏まえて、業務委託契約での働き方も検討すべきとご認識されました。正社員の求人案件への応募を進めつつ、業務委託契約の求人案件も積極的に検討することにしました。

転職サイトや転職エージェントを主に活用していましたが、LinkedInにも登録することをお勧めし、弊社で実施しているLinkedInセミナーへ参加いただきました。

再就職活動終期~決定まで:自分の強みを生かせる仕事で決定

セミナーで得たノウハウを活かしLinkedInのプロフィールを見直したところ、スカウトが増え、ベンチャー企業からスカウトがきました。業務委託契約前提の営業コンサルティングの求人案件でした。

企業面接に行き、業務内容や現在の部門の状況などの話を聞いてみると、若手が多く、やる気がある職場ではありますが、営業スキームがいまひとつ。そんなやり方をしているのはもったいないと感じ、事業の問題点、代理店とのかかわり方、ビジネスとして基本的なことなど、今までの営業・マーケティングの知見を生かした自身の考えをお伝えしました。面接官と意気投合し、是非事業サポートして欲しいと、企業から契約依頼が来ました。まさにご自身の強みである「営業・マーケティングのマネジメント」のご経験が生かせる、やりがいある仕事だと判断し、週2~3日出社し事業サポートをする業務委託契約にて引き受けることにしました。

契約開始して3か月後、高くご評価いただき契約更新が決まり、しばらくこの仕事を続けることにしたそうです。若手社員が一生懸命話を聞いてくるのが嬉しくて、楽しくて、つい居残りで仕事してしまうとおっしゃっていました。まだ余力があるので、並行してもう1社との契約を目指して引き続きLinkedInを活用しています。同じような内容の契約をもう1社受けることができれば前職の年収を上回る見込みとのことでした。

まとめ

今回ご紹介した方は、再就職活動初期では正社員で、年収維持できる管理職を希望していましたが、市場ニーズを察知し、希望条件のこだわりを柔軟に考えることにより、自分の強みが生かせる仕事で納得のいく進路決定をされました。最終的にはむしろ雇用されずにフリーランスとして仕事をした方が、定年なく長く働くことができるとポジティブにとらえていらっしゃいます。

「希望条件を柔軟に考えて活動する」ことが再就職活動をうまく進める鍵となります。自身の専門スキルやご経験の強みの確認と、労働市場のどのあたりにニーズがあるか理解を深めることが必要となりますが、おひとりでは難しいかもしれません。

私たちキャリアコンサルタントがお話をお伺いし、皆さまの再就職をお手伝いいたします。

キャリアコンサルタント 田村

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