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2023/05/08VUCA時代に求められる人材とは?予測困難な時代のキャリア形成に必要な"3つ"の行動

近年は"VUCA(ブーカ)時代"といわれ、先読みの難しい時代になっています。終身雇用の崩壊やAIの台頭など、キャリアを取り巻く環境も目まぐるしく変化している状況です。そのため、「変化のなかでどのようにキャリアを設計すればいいだろう」「自分の仕事がなくなってしまわないか不安」という方も多いかもしれません。

そこで今回は、VUCA時代が人材に与える影響や、VUCA時代に求められる人材像について解説します。また、変化に強くなるために今日から始めるべき3つの行動も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそもVUCA(ブーカ)時代とは?

VUCA時代とは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉です。現在のように社会の変化が激しく、将来を予測することが難しい状況を表しています。もともとは1990年頃に登場し、冷戦終結直後の混沌とした時代背景を表す軍事用語として使われていました。しかし、現在では企業の経営や人材のキャリア形成と紐づけて、広く語られるようになっています。

  • V】:Volatility(変動性)
    新たなテクノロジーやそれを活用した事業が次々登場し、社会が激しく変動している状況を指します。
    例:「DXで今までにない市場が生まれている」「既存業務がITツールやAIに代用されている」など
  • U】:Uncertainty(不確実性)
    災害や国際情勢の変化に伴い、社会のあり方が不確かで、先読みが難しくなっている状況を指します。
    例:「新型コロナウイルスの影響でテレワークが浸透した」「原料不足による急激な物価高が起こった」など
  • C】:Complexity(複雑性)
    新しい技術や手法が日進月歩で登場しており、事業や業務が高度化し、複雑化している状況を指します。
    例:「Webとオフラインを横断したマーケティング手法」「金融とデジタル技術を複合したFintech」など
  • A】:Ambiguity(曖昧性)
    日々多様な課題が起こるものの、解決方法が曖昧で、絶対的な正解が見つかりにくい状況を指します。
    例:「コンプライアンスをどこまで徹底すべきか」「M&Aや投資先の相手を誰にすべきか」など

VUCA時代が人材に与える影響

VUCA時代の到来は、企業だけでなく、人材にも大きな影響を与えているのが実情です。
本章では、VUCA時代が解説します。

1)スキルが陳腐化しやすくなる

VUCA時代では、新たな技術が次々登場し、スキルの陳腐化が起こりやすくなっているのが特徴です。例えば、書類作成やデータ入力のような定型業務がAIに置き換わったり、アナログ中心だった営業・マーケティング手法がWebへと移行したりしています。つまり、今まで当たり前だった業務スキルが、突然通用しなくなることもあるのです。人材はスキルの陳腐化に備え、業務手法や知識を日々アップデートする姿勢が求められています。

2)"T型人材"の需要が高まる

変化の激しい時代では、企業にとってどの分野に事業成長の鉱脈が眠っているかわかりません。働く人たちも広くアンテナを張る必要があるため、「ジェネラリスト」としての視野の広さが求められます。一方で、企業が競合他社に負けないイノベーションを起こすには、該当分野に関する深い専門スキルも必要です。つまり、人材には「スペシャリスト」としての高い専門性も同時に求められています。このように知見の広さ(横軸)と専門性の深さ(縦軸)を兼ね備えた「T型人材」の需要が高まっているのも、VUCA時代の特徴といえるでしょう。

3)キャリア自律が求められる

未来の予測が難しいVUCA時代では、企業が長期的に安定した利益をあげるのが一層難しくなっています。それに伴い、終身雇用の崩壊や人材の流動化も加速している状況です。つまり、人材一人ひとりには、キャリア形成を企業に委ねるのではなく、自分自身で舵をとろうとする「キャリア自律」の意識が強く求められています。キャリアを自分の価値観で切り開き、充実させようとする主体性と積極性が、今後さらに必要になるでしょう。

VUCA時代に求められる人材の特徴

VUCA時代で企業から必要とされるためには、具体的にどのようなスキル・マインドを身につければいいのでしょうか。本章では、VUCA時代に求められる人材が、共通して備えている4つの特徴について解説します。

1)情報処理能力が高い

VUCA時代においては、業界や市場、経済などに関するさまざまな情報に日々触れることになります。その際、関係のない情報や根拠の薄い情報に惑わされると、判断を間違えてしまいかねません。だからこそ、必要な情報を収集したうえで、そこから物事の本質を見抜く「情報処理能力」の高さが求められます。情報処理能力があれば、世の中や自社の動きを柔軟に察知し、企業に対してスピーディに有益な提案ができるようになるでしょう。

2)仮説構築力がある

VUCA時代で人材に求められるのは、既存事業を刷新するようなイノベーションです。イノベーションを起こすためには、事業を成長させるまでの道筋を論理的に組み立てる「仮説構築力」が欠かせません。「この技術を活用すれば、このようなニーズに応えられるのではないか」「この事業を創出するには、このくらい時間やコストがかかりそう」といった感覚を備えていれば、企業の成長を促進でき、社内で欠かせない存在になれるでしょう。

3)行動力がある

いくら妥当性の高い仮説や計画を組み立てても、行動に移さなければ変化は生まれません。VUCA時代では、たとえ未来が不確実だとしても、前向きに新しいことへ挑戦する「行動力」も求められるのです。近年は特にアジャイル開発やリーンスタートアップのように、短期間で事業を効率良く創出していく動きが加速しています。先読みが難しい時代だからこそ、企業から必要とされるのは、野心とバイタリティを備えた人材といえるでしょう。

4)ラーナビリティ(学ぶ力)が高い

変化の激しいVUCA時代では、スキルの陳腐化は誰にでも起こりうる問題です。だからこそ、自分の知識やノウハウがいずれ古くなることを前提に、新しいスキルを努力で補い続ける姿勢が欠かせません。つまり、「ラーナビリティ」と呼ばれる、新しいことを学ぶ意欲・能力がより重要になります。

VUCA時代のキャリア形成に必要な"3つ"の行動10404017099.jpg

VUCA時代に求められる人材になるためには、今までとは意識を変え、新しい行動を始めることが大切です。
本章では、VUCA時代の安定したキャリア形成に向けて、今日から取り組むべき3つの行動を紹介します。

1)自分のキャリア・アンカーを知る

VUCA時代では、キャリアを自律的に決める必要があります。そのため、自分自身がどのようなキャリアを築きたいのか、今一度考えておくことが大切です。その際、自分の「キャリア・アンカー」を知っておくと、より今後の計画を立てやすくなります。キャリア・アンカーとは、キャリアで大切にしたい価値観や欲求のことです。

例えば、「専門性を発揮することに充足感を覚える」「社会や人の役に立つことを人生のテーマに掲げたい」「人のマネジメントや事業の経営に面白みを感じる」など、人によってキャリア・アンカーのタイプは異なります。今一度自分のなかの"キャリアの軸"を見つけ、それに従って就きたい仕事を探すことから始めてみましょう。

2)世の中の動きに敏感になる

VUCA時代では、世の中の動きをリアルタイムに知っておく必要があります。そのため、新聞やニュース、業界誌などを幅広くチェックし、情報収集するクセをつけることが重要です。集めた情報を使って業界の動向や消費者のニーズなどを分析することで、情報処理能力や仮説構築力を高められます。さらに日々アンテナを広げておけば、意外なチャンスを掴みとる力(セレンディピティ)も身につき、キャリアをより有意義にできるでしょう。

3)ギャップを埋めるために"学び直し"を

自分のスキルや知見が足りないと感じたら、積極的に学び直し(リスキリング)に取り組むことも大切です。最近では大学のオープンカレッジやビジネススクール、e-ラーニング、官公庁のセカンドキャリア研修、プロボノなど、多様な学習手段があり、それぞれにカリキュラムが充実しています。世間から求められているスキルと自分のスキルにギャップを感じたら、学び直しで補うことで、VUCA時代でも活躍領域を一層広げられるでしょう。

※学び直しの具体的な方法について詳しく知りたい方は、『学び直しは年齢を重ねるほど有利?結晶性知能を生かしたスキルアップの始め方』の記事もあわせてご覧ください。

VUCA時代は、新しいキャリアのチャンスに満ちている

社会や経済の変化が激しいVUCA時代は、逆に言えば新たなキャリアのチャンスが生まれやすいということです。まずは自分のキャリア・アンカーを今一度見つめ直し、「どのような仕事なら心が動くのか」を知ることから始めましょう。そのうえで、日々の情報収集や学び直しに努め、自分のアンテナを広げておくことが大切です。

キャリアの好機をつかみとるために、まずは今日から"一歩目"の新しい行動を始めてみませんか。

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