2026/03/16「キャリアチェンジ」のハードルは高い?ミドルシニアのキャリアチェンジは現実的か
再就職支援の現場にいると、「同じ仕事を同じように続けられる仕事を探したい」という声をよく耳にします。ですが、なかなか同じ求人案件は見つからず、そこにこだわるあまりに再就職活動が長期化してしまうという傾向もあり、見極めが難しいところです。
そこで今回は、キャリアチェンジという観点から、再就職活動を考えてみたいと思います。
一般的にキャリアチェンジとは、職種変更・業界変更、あるいはその両方を指します。例えば「同業界×異職種」や「異業界×同職種」など、変化の幅にはグラデーションがあります。近年は、異業種×異職種の転職も3割~4割ほどという調査結果もあり、以前と比較するとキャリアチェンジをする方も増えているようです。
これまでの職種分類では見えない領域を見出す
採用現場では、DXや事業変革で求められるスキルの再定義が進み、ポータブルスキルや多様な経験の掛け合わせに価値を見出していることがあります。実際、日本の転職率はコロナ前よりなお高い水準で推移し、40~50代の動きも活発化しています。年齢にかかわらず、経験を活かした転職や再就職が当たり前になりつつあります。
「キャリアチェンジ」という言葉だけで考えると、経験を活かすのではなく、今まで全く経験のない領域への「大ジャンプ」と想像してしまいますが、「目的は同じでも、手段を変える」 「経験の軸を少しずらす」 ということもキャリアチェンジと言えるのではないでしょうか。
営業職を例に考えてみましょう。かつては電話でアポイントを取り・訪問、関係構築をして受注へ、という流れが王道でした。その一連の管理をする管理職、という組織形態が一般的でした。デジタル化が進んだ現在は、マーケティング思考でのアプローチ、マーケティングチーム連携、媒体等を活用した顧客連携の強化、データ管理、プレゼンの設計や実施、チーム管理、売上管理など、求められる役割が多層化しています。資料づくりやデータ可視化、FAQ設計、競合比較といった"営業の中の別スキル"に重心を移すことも、十分にキャリアチェンジです。これまで担当させて頂いた方では、対面での関係構築を強みとしながらも、資料の設計やプレゼンも得意とのこと営業支援のポジションで再就職をされた方もいました。
また、小売りで接客販売をしていた方は、そのまま接客の仕事があればと求人案件を探していましたが、最終的に人材系企業の人事部門に再就職をした方もいらっしゃいます。販売の業務のほか、これまで採用や育成にも関わっていたこと、また数字の管理やシフト作成など人材の管理もしていたということもあり、人事のタレントマネジメントにつながることに気づき、主な経験から軸を移した形で再就職を果たしました。
小売業の販売から人材業界の人事、ということで業種・職種とも一見大きなキャリアチェンジをされたように見えますが、核となるこれまで得たスキルや経験からのキャリアチェンジです。ご自身としては大きなキャリアチェンジを果たした、というよりは、これまでの経験からさらに幅を広げて新しいことにもチャレンジできる結果となった、という再就職になったかと思います。
結果的にキャリアチェンジとなる方も多い
ご自身の経歴の棚卸を丁寧にやればやるほど、キャリアチェンジを視野に入れる可能性が広がるかもしれません。というのも、ご自身の経験を細分化し、目的達成のプロセスを確認してみると見出されるものがあるからです。
では具体的にどのように経歴の棚卸をすればよいでしょうか。
- これまでの仕事を"要素"に分解してみる
おそらくこれまでの仕事を細かく振り返ると、多くの要素が組み合わされて行われていた、ということに気づくのではないでしょうか。できるだけ細分化して自分はどのような作業が得意だったのか、どのようなシーンで力を発揮できたのかを振り返ってみましょう。少しでも「やったことがある」「勉強して知識として持っている」何かがあるのではないでしょうか。今までなんとなく流れでやってきたことがもしかしたらキャリアチェンジの種になるかもしれません。 - プロセスの違いを確認する
同じ職種でも、会社ごとにKPIや実際の業務の進め方、使うツールや管理方法は異なります。目的は同じであってもそこまでのアプローチの違いがあります。これまでどのような流れで対応してきたのか、詳しく書き出してみると、もしかしたらそのアプローチは、「同じ職種なのに全然違う」逆に「他の職種なのにその業務はこちらの企業では他の部門が担当している」ということもあるかもしれません。どのようなプロセスで仕事をしてきたのかまで、詳しく言語化してみましょう。そこから新たな気づきがあるかもしれません。
まとめ
「まったく同じ仕事を、まったく同じように続ける再就職」は存在しません(元の企業の同じポジションの場合別ですが)
企業が変わればプロセスが変わる。ならば、その違いがあることを理解して、やり方の濃淡や軸や重心を変える --それだけでキャリアチェンジになっていきます。
ミドルシニアの皆さんは多くの経験があり、その中にはきっとたくさんの「キャリアチェンジの元」が隠れています。キャリアチェンジを大きな壁と見ず、「自分のできることの視野を少しだけ広げる再就職」と捉えて、方向性を考えてみてもよいかもしれません。キャリアコンサルタントの客観的な意見も聞きながら再就職活動を進めていきましょう。