2026/04/20年収やポジションにこだわり過ぎていませんか ~選択肢を狭めないためのキャリアの選び方~
再就職やキャリアチェンジを考えるとき、多くの方が「年収を下げたくない」 「今より低いポジションは受けたくない」といった思いを抱きます。これは、生活を維持するために年収が下がると困る、またこれまでの自身の価値を下げるような感覚になるという思いから生まれる感情かと思います。特にこれまでの労働市場では、長く働く中でキャリアとともに年収は上がっていくものという思いを強く感じられてきた方も多いのではないでしょうか。
このような感情から、年収やポジションへのこだわりはどうしても強くなってしまうと思います。しかし年収やポジションへのこだわりが強くなり過ぎると、選択肢が極端に狭まり、かえってキャリアの前進を妨げてしまうこともあります。
キャリアカウンセリングを通して感じるのは、こだわりの背景には、これまで築いてきた価値観を変える怖さがあるということです。
今回は、その気持ちを尊重しながらも、前に進むための考え方をお伝えします。
年収やポジションは「価値」ではなく「条件」のひとつ
キャリアカウンセリングの場では、過去の年収や役職を、自分の価値そのものとして捉えてしまう方に多く出会います。しかし、これらは企業ごとの評価制度や、組織の状況に影響されることも多く、個人の価値を表すものではありません。
ある方は、前職では豊富な業界知識とマネジメント力が評価され、組織の中心的役割を担っていました。その経験は確かな強みである一方で、ご本人は肩書きを自分自身の評価と強く結びつけて捉え、転職活動で苦しくなってしまいました。
ポジションが下がったら過去の努力が否定される気がする、という思いからポジションを変える選択肢に踏み出せず苦戦した、という例です。
役職や年収はあくまでも環境によるものであり、キャリアの本質は「何を経験し、どのように貢献できるか」という点にあります。この視点を持つだけで、見える景色は大きく変わります。
こだわりの裏側にある不安に目を向ける
こだわりが生まれる背景には、未来への不安もあるのではないでしょうか。
「年収が下がったらこれまでの生活が維持できるのか不安」 「将来的に(老後の生活などで)必要な収入を得られるのか」
誰にでも起こりうる自然な気持ちです。不安が強いと、今の状態を維持することが安全に思え、変化を避けたくなります。しかし、その結果、実は興味のある仕事や、活躍できる場を見逃してしまうことがあります。
一歩踏み出せないときは、「今、自分は何を恐れているのか」を言語化することから始めてみてください。それだけでも、必要以上に膨らんでいた不安が和らぎ、視野を広げることができるようになります。
将来性で考えてみましょう
人生100年時代と言われ、キャリアは長くなりました。短期的な年収や役職にしばられ過ぎると、長く活躍できるフィールドを見失うことがあります。
ここで、年収の枠に縛られずに新たな道を見つけた方の事例をご紹介したいと思います。
この方は、外資系企業でマネージャー職として活躍され、前職の年収は1500万円でした。再就職にあたり年収が下がる覚悟はあったものの、気持ちの中では、3分の2以下では働きたくないという思いがありました。しかし、市場ではそれでも高年収に分類されるため、一年間努力しても思うように再就職が決まらず、悩みを抱えていました。
働き方や成長機会について改めて一緒に整理していく中で、地元の中小企業から声がかかりました。当初提示された年収は500万円で想定以下ではありましたが、経営層からはこれまでの経験を高く評価され、将来的には役員候補として会社を支えてほしいという期待が寄せられました。選考が進み、面接の中で企業の考え方や将来のビジョンを知るうちに、経験を活かしながら、新しい挑戦ができると感じるようになり、最終的には年収600万円で迎え入れていただけることになりました。
年収の上下だけに着目せず、将来に向けて成長できる環境を選ぶことで、結果として長く安定して働くことができ、また短期的に年収の高い仕事に就くよりも生涯年収としては増える可能性もあります。
軸を持つと良い方向に選択しやすい
こだわりを手放すということは、妥協することではありません。むしろ、自分のキャリア軸を整理することで、どの選択が自分にとって良い方向につながるかが判断しやすくなります。
- 年収はどの範囲なら生活に支障がないか
- 役職よりも優先したい経験はなにか
- 3年後、5年後、10年後、どのように働いていたいか
これらを整理していくと、自分が大切にしたいことが明確になります。
その結果、企業に伝える言葉がより具体的になり、希望に沿った選択がしやすくなります。軸を持つことは、自分に合った道を見つけるための近道になります。
まとめ
キャリアの選択を行うとき、年収やポジションといった条件に意識が集中しやすくなります。これまで積み重ねてきた経験や努力があるからこそ、変化に不安や抵抗感から年収やポジションに強くこだわってしまうのは自然なことです。ただ、そのこだわりが強くなるほど、本来の強みや可能性が見えにくくなる場合があります。
こだわりが再就職活動の幅を狭めていることに気づいたら、視点を少し変えてみてはいかがでしょうか。
年収や役職は、あくまでも働く上での条件のひとつです。長く働き続けるためには、未来に向けて成長できる環境や、力を発揮できる場がどこにあるかを見極める必要があります。自分の軸を整理することで、何を大切にしたいかが明確になり、選択しやすくなります。
キャリアは一度で決めるものではありません。不安や迷いがあるときこそ、視野を少し広げて自分自身と向き合うこで、納得のいく選択につながります。悩む時間も大切なプロセスです。
必要な時は、いつでもキャリアコンサルタントに相談してください。あなたの思いに寄り添いながら、より良い一歩を一緒に探していきましょう。