ライトマネジメント

お客様インタビュー:京セラ株式会社様

上司が導く「キャリア自律」で、部下も組織も成長できることを実感(京セラ株式会社様)

「主体的なキャリアデザイン」を学び始めた社員は、社益を軽んじ、利己に走ってしまうのではないか。企業がキャリア開発支援に取り組むにあたって、こうした懸念が生じることはまだまだ少なくありません。しかし実際は、上司をはじめ周囲が適切な支援をしていくことで、組織にも、社員個人にも有益な「win-winのキャリアデザイン」は実現可能なのです。

今回は、マンパワーグループが提供する「上司向けキャリア開発支援eラーニング」と「全社員向けキャリアデザインブック」を導入された企業様にお話を伺いました。

インタビューにご協力いただいたのは、「京セラ株式会社」様です。インタビューでは、導入に携わられた人事企画部の原田様、キャリア開発支援部の阿見様、山本様、野口様、に登場いただきました。皆様には、eラーニングやキャリアデザインブックを検討された理由、導入の前後の様子など、詳しくお話を伺いました。

キャリア情報の見える化を「主体的にキャリアを考える」きっかけに

――まず、皆様のご担当されている業務などについて教えていただけますでしょうか。

原田様:私は人材開発部 人事企画部組織開発課の責任者として、人の育成と配置に関連する施策の企画業務を中心に担当しております。

阿見様:私は人材開発部 キャリア開発支援部 1課の責任者として、社員のキャリア支援、キャリアに関する意識醸成のプログラム、若手の定着支援に関する施策の運用、キャリア開発支援に関する人事制度の一部運用といった業務を担当しています。例えば、若手社員向けの研修、定期面談制度、社内公募の運用といったものですね。

山本様:私も同じキャリア開発支援部におります。弊社では年次の浅い若手社員を対象に定期面談を実施しておりまして、その業務を主に担当しています。全社をあげたキャリア意識醸成のために、研修やセミナーなど施策の検討も進めています。

野口様:私もキャリア開発支援部に所属しておりまして、主に若手社員向けの定着育成支援策の運用、改善業務などを担当しております。具体的には、面談やキャリア研修の運用、職場での部下育成施策や、メンター制度の運営などを担当しております。

――今回、「上司向けキャリア開発支援eラーニング」と「全社員向けキャリアデザインブック」を導入いただいた背景には、どのような理由があったのでしょうか。

原田様:はい。背景としては2022年度から「キャリア登録制度」をスタートさせたことが挙げられます。これは、社員一人ひとりが、自身の「職務経歴」と「今後のキャリア希望」をシステムに登録し、直属の上長ならびに更に上位のマネジメント層までその内容を公開することで、社員個人の経験・希望と事業ニーズのマッチングを図り、人材の活用促進を目的とした仕組みとなります。また、直属の上司とは、期初の業務目標設定の面談にて、年間の業務目標と併せ、登録した「今後のキャリア希望」についても話し合いをしてもらっています。面談では、上司が部下のキャリア希望を理解した上で「今年はこんな業務をやっていこう」、「将来的にはこういう仕事を目指そう」といった風に、お互いに認識を合わせるような形で運用を始めたところです。

――「キャリア登録制度」を整備されたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

原田様:大きく2つあります。ひとつは会社・組織側の視点として、「人材情報の見える化」、いわゆるタレントマネジメントの仕組みを整え、人材の流動化・有効活用を進めたいという点です。人事部門で把握している過去の所属履歴などの情報に加え、これまでの在籍部門で具体的にどういう職務経験を積んだのか、どんな資格を持っているか、海外経験はあるのか、今後どういうキャリアコースを希望しているかといった、個人ごとのより詳細な情報を把握することで、人材活用を進めたいという思いがありました。

もうひとつは、社員・個人側の視点としてですが、「キャリア自律」が重要視される中で、今回の「キャリア登録制度」を通じて、これまでの経験を振り返り、今後のキャリア目標を明確にすることで、自ら主体的にキャリアを考えるきっかけにしてもらいたいというような狙いもありました。

個人向けが多いキャリア教材で「上司向け」に特化していたことが鍵に

――つまり「主体的にキャリアを考える」ための支援策として、「上司向けキャリア開発支援eラーニング」と「全社員向けキャリアデザインブック」を導入いただいたということでしょうか?

原田様:そうですね。弊社には、仕事や人生の指針をまとめた経営哲学としての「京セラフィロソフィ」があり、この京セラフィロソフィの考え方をベースに、仕事への取り組み姿勢や、人生をどう歩んでいくべきか、といったことについては、これまで社員に対してもしっかりとした教育を行ってきましたが、いわゆる一般的な「キャリア教育」というものはあまり実施してきませんでした。そういった中で、まずは「キャリア自律」の意味を、部下も、上司もそれぞれが正しく理解するための教育が必要だろうと考えました。

「キャリア自律」について理解が進まないまま、施策だけを推し進めてしまうと、「自分勝手な希望が増えるのでは」、「視野を広げたことで離職を招くのでは」といった誤解が起こることも考えられます。そこで「企業という組織においてキャリアを築いていく上で持つべき考え方」を上司・部下双方にしっかり伝えていきたいと考えたのです。

――数ある研修サービスのなかから当社を選ばれた理由は何でしょうか?

原田様: まず、上司として部下のキャリアをどう考えるべきか学べる「上司向けの教材」がしっかり用意されていたところです。キャリア教育のためのリサーチを行う中で、個人視点、つまり自分のキャリアを築く観点のプログラムはいくつもあったのですが、会社視点・上司視点のプログラムは他ではあまり見られませんでした。また、上司だけでなく一般社員についても、キャリアの基本的な考え方を学べる教材が準備できないかと考えており、そこに「キャリアデザインブック」がちょうどマッチしたのです。

こういった研修や教材を選ぶ基準にもさまざまなものがありますが、私たちとしては「自社の考え方とそのプログラムや教材の考え方がマッチしている」点がもっとも重要だと思っています。単に「上司向け」というだけでなく、「業務目標と個人のキャリア目標をすり合わせていくこと」の大切さや、「会社と個人双方にとって有益な、win-winのキャリアコース」を目指すための内容がしっかりカバーされています。そこは私たちもキャリア教育や啓発活動を進めていく中で、誤解がないように伝えていきたいと特に重視しているポイントでしたので。

「なぜキャリア開発支援を学ぶのか」納得してから取り組めることは重要

――「上司向けキャリア開発支援eラーニング」のコンテンツのなかで特に印象に残っているカリキュラムはありますか?

阿見様:「キャリア開発支援が求められる背景」というセクションが良かったですね。「なぜ(上司が)キャリアについて学ぶべきなのか」といったメッセージが簡潔丁寧に説明されている。いわゆる「腹落ち」してから取り組めることは重要だと思います。その中の「キャリア開発支援における管理職の役割」といった内容も、鍵になるメッセージがパッと出てくる形で分かりやすく、自分としても参考になりました。

野口様:「キャリア開発支援が求められる背景」の中では「開発支援に取り組むメリット」というメッセージも印象的でした。「部下のキャリア開発支援」とは必ずしも各々の希望を叶えるということではなく、「部下一人ひとりの価値観を尊重し、それによりモチベーションを向上させ、結果として組織目標達成につながっていくメリットがある」ことを分かりやすく示してもらえているので、組織目標達成のリーダーを担う責任者の方にとって腑に落ちる説明になっていると感じました。

山本様:私は「(部下について)WillCanMustを使って考える」手法が分かりやすいと感じました。自分自身について考える際に、WillCanMustを使うことはよくありますが、部下について考える際もこのフレームで整理することによって、上司が部下のどんな点を理解していくべきかがわかりやすく伝わりますよね。

原田様:受講後に実施したアンケートでは、「(eラーニングの教材として提供された)ワークシートを参考にして、自分の部下のことをまとめてみたいと思います」、「ワークシートは実際の面談の準備としても、とても有効です」といった意見が幾つかありました。動画で説明を受けるだけではなく、自分で考えながら進めていける構成が良かったのではないでしょうか。

職場でキャリアについて考える、語り合えるのを当たり前にしていきたい

――「上司向けキャリア開発支援eラーニング」を受講された方の反応や社内の反響はいかがでしょうか。

原田様:「部下から自分勝手なキャリア希望が出てきたらどうするのか?」といったような懸念の声が生まれることも心配していたのですが、実際にはそういった意見は少なかったですね。「今の時代を踏まえて、部下の将来的なキャリアを共に考えること、それを踏まえた上で今の仕事のデザインをどうするか検討すること、仕事の目的をどのように伝えていくか、こういったことが上司の役割として重要だとよく認識できました」といった意見が多く聞かれました。

阿見様:私自身がそうでしたが、自分のキャリアについて考えることを、そこまでせずに会社生活を送ってきました。現在責任者を務めているいわゆる上司の世代は、自分たちが若手の頃から今に至るまで「キャリア教育」を受けてきていない世代ではないでしょうか。しかしその上司世代が、実は若手社員の傾向や、現在の環境、背景なども理解した上で「部下の能力開発においてキャリアという要素は不可欠である」と考えていることが、研修受講後のアンケートから確認することもでき、その点は非常に印象的でしたし、今後の展開につながる手ごたえを感じました。

山本様:上司の世代と部下の世代、いわゆる世代間のギャップなども受け止めて、部下のモチベーションを上げ、組織を活性化するためにどうすればいいのか、改めて考えていただく機会になったのではないかと思います。「キャリア開発支援が重要だ」と理解いただけたのは、非常に大事なポイントだったかと。

野口様:「面談に限らず、部下とのコミュニケーションを密にしていきたい」という意見も目立っていて、「部下をよく知ることの重要性」を認識された責任者の方が多かったのだなと感じました。キャリアに関すること以外でも、日頃の職場でのコミュニケーションや、上司と部下の会話が重要であることも改めて認識していただけた、そこもひとつ大きなメリットでしたね。

原田様:もちろん「部下育成の重要性」についてはこれまでも伝えてきまして、責任者とも認識を共有できているのですが、改めて部下育成を「キャリア開発支援」という視点でも捉える、その第1歩がスムーズに踏み出せたのは大きいです。

――これから、キャリア開発支援をどのように展開していきたいとお考えですか?

阿見様:今回当社としては初めてキャリアというテーマに基づいた研修・教材を試してみて、社内からもポジティブな反応が多数ありました。ただ、学んだその時は「とても重要だ」と強く思うものの、日を追うごとに記憶が薄れていきます。そこで、例えばセミナーや世代別のキャリア研修などを定期的に開催し、京セラの中で「キャリアについて考える」、「キャリアについて職場の中で語り合う」といったことが当たり前になっていくようにしたいですね。

また、就労期間が長期化する中で、退職までどれだけ働きがい、生きがいを感じながらモチベーションを高く保って仕事をしていくのか。ミドル~シニアに限らず、若手も含めて、皆が充実した職業人生を京セラで送っていけるように、私たちも手厚いサポートをしていきたいと考えています。これは研修や教材の提供だけでなく、人事制度などの仕組みや処遇、この両輪で考えるべきものでもありますので、人事などの関係部門とタッグを組んでキャリア開発支援を盛り上げていきたいですね。

――若手世代のキャリア開発支援に尽力している世代の方や、その先輩方にも、ご自分自身の働きがい、生きがいを感じていただくことは確かに重要なポイントかと存じます。当社も引き続き、研修や教材などを通してキャリア開発支援のサポートに努めてまいります。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

企業名 京セラ株式会社
本社所在地 〒612-8501 京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
ホームページ https://www.kyocera.co.jp/

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